ユーザー層の急拡大への対応が課題に

 若者中心に拡大してきたTikTokに、このところ変化が訪れている。スマートフォンのインカメラでの自撮りではなく、アウトカメラで風景や日常を撮った動画が増えているのだ。また、投稿者の年代の幅が広がり、もはや若者だけのSNSではなくなっている。

 バイトダンスは2019年1月に開催したメディア向け発表会で、人気コンテンツのトップ5がVlog(ビデオブログ)、絵画や陶器、ショートコント、動物、グルメであり、60%以上が音楽とダンス以外のジャンルだと明かした。日常のたわいもない風景を撮影したり、旅行先で感動したシーンを投稿したりと、これまでの10代女子とは違うユーザー層がTikTokを使うようになっているのだ。

TikTokにおける人気コンテンツを説明するスライド
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 ただ、ユーザー層の広がりには2つの懸念が付きまとう。

 1つは、若者と大人が互いに興味の無い投稿を目にすることにならないかという懸念だ。大人の利用が増えて若者が逃げていく現象は、若者に人気のあったSNSが衰退する際によく見受けられる。

 TikTokはこの懸念に対して、レコメンド技術の活用で対応する。興味の無いコンテンツが表示されなければ、世代間ギャップによるストレスは生じないという考え方だ。

 もう1つはセクハラの温床になったり、出会い系サイトのような状態になったりしてしまう懸念だ。女性の投稿には男性からと思われるコメントが非常に多く付く。その中には、容姿や服装について中傷するものもある。出会いを求めるメッセージを熱心に送る男性もいるだろう。ユーザー層の拡大とともに、問題行動を取るユーザーが流入する可能性がある。

 TikTokはセクハラや出会いのリスクに対して、人手による問い合わせ対応に加え、自動化した対策も実施しているとする。例えば、同じアカウントから3回DM(ダイレクトメッセージ)を受信し、3回とも返事しなかった場合は自動で送信元をブロックするといった機能を提供している。ユーザーの行動パターンをAIで解析し、不適切な行動を取るアカウントを検出して把握しているという。

 全てのユーザーが快適に楽しく過ごせる空間を維持できるかどうか。幅広いユーザー層を抱えるようになったTikTokが乗り越えるべき課題だ。

鈴木 朋子(すずき ともこ)
ITライター・スマホ安全アドバイザー
ソフトウエア開発会社のSEを経てフリーランスに。SNSやアプリなどスマートフォンを主軸にしたサービスを行っており、書籍や雑誌、Webに多くの記事を執筆。スマホネイティブと呼ばれる10代のIT文化に詳しい。All About(オールアバウト)iPhone・SNSガイドも務める。著作は『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)、『今すぐ使えるかんたん文庫 LINE & Facebook & Twitter 基本&活用ワザ』(技術評論社)など20冊以上。