女子中高生のストーリーズには、Twitterのように文章が投稿されることもある。小さな文字でつらつらと思いの丈をつづる。だが長過ぎると読み切れないうちに、次の画面に遷移してしまう。全ての文章を読むには、画面を押し続けて遷移するのを止めるしかない。または画面のスクリーンショットを撮る。

 一見すると、非合理的に思える。筆者も初めて目にしたときは「ストーリーズではなく、フィードに投稿すればいいのに」と思った。だが若者の心理は複雑なのだ。

 伝えたい気持ちはあるけれど、SNSで必要以上に目立つのは避けたい。そんな女子中高生の微妙な心理が、ストーリーズにあえて長文を投稿する行動を生んでいるように思える。

 ストーリーズには閲覧者の履歴が付く。これはあまり気にしていない若者が多いようだ。「ストーリーズに投稿する内容は、絶対見てほしいわけではないから」と、ある女子中学生は言っていた。

「いいね!」がないのがいい

 もう一つ、大切なポイントがある。ストーリーズには「いいね!」を押す機能がない。投稿に反応するには、指定した相手と直接メッセージや画像などをやりとりする「ダイレクトメッセージ」を使う。

 大人からすると、ワンタップで人間関係を維持できる「いいね!」があると、便利でありがたいと感じるものだ。しかし女子中高生は抵抗なく、ダイレクトメッセージでストーリーズへのリアクションやコメントを書いて、相手に送る。

 見る人の迷惑にならないように気を使っているからこそ、リアクションも個人間のメッセージのやりとりにしたほうが他の人に知られず、安心と考えているのだろう。

 女子中高生の多くは「仲がいい友達とは、ストーリーズを見た後にダイレクトメッセージを送って盛り上がる。同時にLINEでは別の話題をメッセージで送り合っている」という。

 若者の輪の外にいる大人たちには、デジタルネーティブの若者は消極的で遠慮がち。人と広く浅く交流しているように見えるのかもしれない。しかし、限られた仲間との閉じた世界を非常に大切にしており、その中での深いコミュニケーションを大事に思っている。

 こうした若者特有の人との距離感が、SNSの流行にも色濃く反映されている。Instagramのストーリーズの隆盛は、その象徴といえるだろう。

鈴木 朋子(すずき ともこ)
ITライター・スマホ安全アドバイザー
ソフトウエア開発会社のSEを経てフリーランスに。SNSやアプリなどスマートフォンを主軸にしたサービスを行っており、書籍や雑誌、Webに多くの記事を執筆。スマホネイティブと呼ばれる10代のIT文化に詳しい。All About(オールアバウト)iPhone・SNSガイドも務める。著作は『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)、『今すぐ使えるかんたん文庫 LINE & Facebook & Twitter 基本&活用ワザ』(技術評論社)など20冊以上。