ごみ箱に投げ捨てた刺し身をまな板に戻す、床にすり付けた肉をフライヤーで揚げる――。店員による不適切な行為の動画投稿がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で拡散された。いわゆる「ネット炎上」が2019年2月上旬から相次ぎ、テレビのニュースでも大きく取り上げられた。動画の「舞台」になった企業は、謝罪や再発防止策の立案など対応に追われる事態になった。

 一連の騒動を見て、2013年ごろに続発したTwitter(ツイッター)に投稿された不適切な写真による炎上を思い出した人も多いだろう。コンビニエンスストアのアイスクリーム用の冷凍庫内で人が寝そべった写真、そば屋の厨房での不衛生な行動を撮った写真はよく知られている。そのコンビニは閉店し、そば屋は倒産に追い込まれた。不適切な画像をTwitterに投稿するばかげた行為を指して、「バカッター」と呼ぶ人たちもいた。

Instagram(インスタグラム)への不適切動画の投稿で、ネット炎上が相次いでいる
(出所:PIXTA)

 2013年のバカッター騒動と今回の騒ぎで異なるのは、投稿先となったSNSだ。写真共有のSNSであるInstagram(インスタグラム)の「ストーリーズ」という機能を使って、不適切な動画が投稿された。そのため今回の騒動を「バカスタグラム」と呼ぶ人もいる。Instagramのストーリーズは2016年8月に追加された比較的新しい機能。若い世代を中心に利用が急拡大している。

 企業にとって、ネットの炎上はできるだけ避けたいものだ。しかし、やみくもに対策をとっても効果は薄いし、従業員の無用な反発を招く恐れがある。ここでは、今回の不適切動画の炎上騒動を通じて、若い世代で起こっているSNSの使い方の変化を理解してみよう。

内輪感が強い、Instagramのストーリーズ

 Instagramのストーリーズは、文章や写真、動画を投稿する機能だ。動画は数秒から1分間までの長さを撮影できる。実態としては、5秒程度の短い動画を投稿している人が多い。

 ストーリーズと通常のInstagramの写真投稿(フィード)の最大の違いは、フィードは一度投稿すると削除するまで掲載され続けるのに対し、ストーリーズに投稿した内容は「24時間で自動的に消える」ことだ。

 投稿した内容は、閲覧者にはスライドショー形式で表示される。写真だと6秒間表示され、動画だと終わり次第すぐに次の投稿に切り替わる。投稿されたものはどんどん流れていくので、じっくりと見られることは少ない。

Instagramのストーリーズの画面
(出所:鈴木 朋子)
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 Instagramに慣れ親しんでいる若い世代は24時間で消えるという特性を生かして、フィードとストーリーズを使い分けている。Instagramというと、2017年のユーキャン新語・流行語大賞にも選ばれた「インスタ映え」を連想する人が多いだろう。インスタ映えを狙ったキラキラ写真や動画を投稿するのは、通常の投稿であるフィードの方だ。一方、インスタ映えを狙わない日常の一コマは、ストーリーズに投稿するのが一般的である。

 筆者が取材したある女子高生は「スタバ(スターバックス)ならフィード、マクドナルドならストーリーズ」と言っていた。Instagramを使っていない人でも、この例えなら何となく、若者の使い分けのイメージがつかめるのではないだろうか。