前置きが長くなったが、カウントダウンライブの生中継を終えた後、横浜アリーナだけで行われた未知なるライブ体験を理解するうえで、5Gを用いた前半の内容をもう一度、頭に入れておいてほしかった。

 年が明けた後、横浜アリーナで1万2000人のファンとPerfumeが「共有」した体験は、今後のライブやスポーツイベントなどの楽しみ方を大きく変える可能性を秘めたものだ。ただし、成功させるには特別なシステムと観客の協力が絶対に必要だ。そこで初めての挑戦になる今回は、ファンクラブ会員に限定して実施した。

1万2000人がWi-Fi同時接続する、会場でのデジタルアンケート

 やりたいことは実は単純で、観客の見える化である。例えば、ステージにいるPerfumeの3人がファンに三択の質問を投げる。観客は手元のスマホから回答を選択。集計結果を即座に、ステージ後方の巨大スクリーンに映し出す。この仕組みは現場スタッフの間では「アンケートシステム」と呼ばれていた。

 必要なテクノロジーや機器は、大きく4つ。1万2000人分のスマホ、会場内でスマホを接続するのに使うWi-Fiシステム、回答の集計システム、そしてシステム間をつなぐ5Gなどの通信ネットワークである。

横浜アリーナに設けられた、NTTグループの通信ルーム。5Gの通信装置(写真の右側の装置)などが並ぶ
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 言うはやすしだが、この仕組みを回すには、幾つもの関門をくぐり抜けなければならない。まずNTTグループは事前に、Wi-Fiや5Gなどのネットワーク機器や配線を横浜アリーナに設営しておかなければならない。しかも今回用いるWi-Fiは超強力なもの。「高効率Wi-Fi」と呼ばれるものだ。

 アンケートシステムでは、会場にいる1万2000人の観客が一斉に、スマホから会場専用Wi-Fiに同時接続できなければならない。この同時接続台数は、世界記録並みのチャレンジだ。NTTグループも実環境で1万台規模のスマホを使ったWi-Fiの同時接続経験はなかったようだ。初めてライブの本番環境で活用することになった。Perfumeの3人は事前に技術的な説明を受けたというが、仕組みをよく理解できなかったといい、「とにかくスゴイWi-Fiだと思って」と言って、ファンを笑わせた。

 私たちが普段利用しているWi-Fiシステムに1万台のスマホが同時接続してきたら、途端にパンクして通信不能になってしまうだろう。そうならないようにするシステムが高効率Wi-Fi。つまり、スゴイWi-Fiというわけだ。

NTTグループが横浜アリーナに設営した「高効率Wi-Fi」を使い、1万2000人の観客がスマホで同時接続。Perfumeからの質問に答えるという新しいライブ体験。この仕組みは現場では「アンケートシステム」と呼ばれていた
(出所:NTTドコモ)
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