地方や中小事業者にこそ必要

なぜ困難なんですか。

富田:2000年代前半の規制緩和でタクシー業界の数量規制がほぼ撤廃され、台数を増やしたいときに増やせるようになりました。ですが結局、需給のバランスを取らないと、タクシーの品質は維持、向上できないという認識に(政府が)至ったんです。お客様が少ないのにタクシーが多ければ、みんながこぞってお客様を奪いにかかります。そういう状況を生んでしまう面もあって、再び規制が強化されました。

 そこに、今のタクシーに加えて、ライドシェアというか白タクが入ってきてしまうと、供給過剰になることは間違いない。これが、共存共栄できないと考える理由です。

供給過剰で、サービス品質が悪くなると。

富田:コントロールできない状況を作ってしまうと、タクシーの品質が悪化していくと思います。2012年の「トリップアドバイザー」で、日本のタクシーは世界一だと評価されました。安全もおもてなしも、車のクオリティーも、すべてにおいて、日本のタクシーが世界一と言われているんです。こういうことを大事にしていきたい。

 そこで、人手不足問題はどうするのかとなる。白タクを入れない、共存共栄できないのなら、自動運転タクシーを導入していきたいということなんです。

ZMPが2017年末に東京・お台場で行った自動運転車の走行実験

自動運転タクシーは現実味がありますか。

富田:年内に、「レベル3」の車両で、都内で自動運転タクシーの実証実験をやりたいと思っています。実際は「レベル4」までいけると思っているんですが、万が一のことがあった場合にプロドライバーにちゃんと運転を引き継げるように、まずはレベル3から。例えば、六本木から大手町の施設を結んで運行する計画を、国土交通省に申請しています。

できたら日本初ですね。

富田:そうですね。2020年には自動運転タクシーをしっかり軌道に乗せていきたいんです。同業のタクシー会社のなかには、自動運転タクシーなんて、「できるわけないじゃないか」「まだ早い」という認識がある。それを実際に運行してみせることで、「できそうだ」と思ってもらいたい。特に地方のタクシー会社に、自動運転に早く関心を持ってもらって、導入に向けて準備してほしいと思うんです。業界全体としてやっていくべきだと考えているので。