AI半導体のエヌビディアと組む理由

それではAI半導体の米エヌビディアと組むのはどういった理由からなのでしょうか。どのようなメリットと課題があるのでしょうか。

杉本:エヌビディアに関してあまり多くは語れませんが、特に深層学習などで高度なアルゴリズムを実装するには処理能力の高い半導体が必要になります。それを開発するためのツールや環境を提供する能力は大きい。研究開発の領域においては、エヌビディアと一緒にやっていますが、(量産車のような)具体的なビジネスに関してはまだこれからです。

 (エヌビディアは)車載用の半導体を開発していますが、ものすごく処理能力が高い。(発熱するため)水で冷やす必要も出てきます。従来の車載ECUと比べると消費電力も高く、コストも高くなるため、まだ難しい部分があります。

 もちろんエヌビディアの半導体も(量産する自動運転車に搭載する)選択肢としては考えています。ただAIを搭載する半導体では、FPGA(回路構成を自由に変更できる半導体)に強い米ザイリンクスや、日本のルネサスエレクトロニクスもあります。技術進化は速いので、いろいろな半導体を幅広く見て、比較しながら選びたいと思っています。

 エヌビディアは自社の半導体が自動運転に適していることをアピールしています。自動運転は、システムが認識と判断、行動をつかさどります。それを全部AIでやるには、ものすごい学習量が必要で、非常に高性能な半導体が必要になります。

 さらにAI技術は、その中のロジックが分からないという難点もあります。深層学習のようなニューラルネットワークは、どのような学習をした結果、そのような判断に至ったのかが不透明なのです。ブラックボックスになってしまいます。

AIは万能のように思われていますが、いろいろな課題があるということでしょうか。

杉本:AIができることは何でもやろう。何でもAIありきという考えではありません。

 ホンダとしては、従来の制御技術では難しいところにAIを導入していきます。AIの処理負荷はできるだけ軽くしたい。自動車メーカーとしてはAIを従来の制御技術と組み合わせて、クルマの安全性を保証しなければなりません。

 自動運転において想定外はたくさんあります。モビリティーサービスは、限られた場所でやればいいという考え方はあるでしょう。例えば地域や路線を限れば、路面電車のようなものを自動化するのは難しくないと思います。ルールを覚えさせればいいのでやりやすいはずです。

 しかし自動車ではそうはいかない。どんな地域でどんな顧客が使っても機能するように、非常に幅広い範囲について、保証する必要があります。自動運転車でも100万台レベルで保証しないといけません。

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