2018年8月2~3日に大阪市で開催されたICT(情報通信技術)活用教育に関する総合展示会「第3回 関西教育ICT展」では、多くのセミナーやパネルディスカッションが開かれた。

3大学がセキュリティと著作権侵害の対策を発表

 「1人1台時代のリスク管理」と題したセミナーでは、教育現場における情報セキュリティと著作権侵害という2つのリスクについて、大阪教育大学、長崎大学、横浜国立大学の各パネリストから各校での取り組みが発表された。

大阪教育大学の片桐昌直教授
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 大阪教育大学 教育学部教育協働学科理数情報講座教授 科学教育センター長 学長補佐の片桐昌直氏は、教員や教員を目指す学生を対象にした「教育著作権検定」をサーティファイなどと開発。2018年2月に試験の提供を始めた。片桐教授は、「著作権は広くて深く、どこまで勉強すればよいのか判断が難しい。一つの目安、目標として教員著作権検定を活用してほしい」と語る。同大の中期計画の中で「ICT関連の資格・検定試験も活用して学生のICT活用能力を向上する」としているために、国家試験「ITパスポート」の取得も推奨している。

「教育著作権検定」の問題例
(出所:片桐昌直氏が発表したスライド)
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 長崎大学 ICT基盤センター准教授の古賀掲維氏は、教職員向けの著作権・情報セキュリティ研修の取り組みを紹介した。同大では教職員を対象とした著作権に関するオンライン研修を2016年度から実施している。内容は基礎編で著作権と著作権法の基礎、応用編では授業での著作物利用、入試問題と著作権などについて学び、テストも受ける。

長崎大学の古賀掲維准教授
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 情報セキュリティ研修のほうは、講習会以外にも「情報セキュリティ自己点検システム」を運用している。同大の情報セキュリティポリシーに基づき、必須の自己点検(10問程度)と任意の自己点検をオンラインで実施する。こうした取り組みの結果、「著作権に関する問い合わせ件数は減少傾向にあり、教職員のセキュリティ意識も高まっている」(古賀准教授)という。

長崎大学で実施している教職員向けの著作権・情報セキュリティ研修。コンテンツ作成には「日経パソコンEdu」も利用している
(出所:古賀掲維氏が発表したスライド)
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 最後に、横浜国立大学 国際社会科学研究院教授/情報基盤センター センター長の田名部元成氏は、「情報セキュリティ教育で大事なのは、インシデントから対策の意味を知ること。教職員が無理なくセキュリティ教育を受け続けられる仕組み作りも必要」と指摘した。

 そのための取り組みとして、LMS(学習管理システム)、外部サービス、冊子のテキスト、メールを組み合わせた情報セキュリティ教育の実証実験について発表した。同大の教職員向けに配信するメールやグループウエアのニュース、冊子のテキストを入り口としてLMSで情報セキュリティを学んでもらい、さらに日経パソコンの記事などを提供している「日経パソコンEdu」のコンテンツで最新の情報を得られるようにする。2018年度に実施する予定だ。

2018年度の実施を予定している情報セキュリティ教育の実証実験
(出所:田名部元成氏が発表したスライド)
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