米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)、米アップル(Apple)、米グーグル(Google)の3社が相次ぎ、本社がある米西海岸以外の場所に巨大な拠点を整備する計画を明らかにした。ニューヨーク、ワシントンDC近郊、テキサス州オースティンというそれぞれの立地に込められた各社の狙いを解き明かす。

 3社は2018年11月から12月にかけて、本社に次ぐ規模の拠点を設ける計画をそれぞれ発表した。

アマゾン、アップル、グーグルが相次ぎ発表した拠点の拡張計画
社名場所追加する拠点の面積新規雇用数従業員数の将来計画投資額
アマゾン・ドット・コムニューヨーク市400万平方フィート(約37万2000㎡)2万5000人同左25億ドル
アマゾン・ドット・コムバージニア州アーリントン400万平方フィート(約37万2000㎡)2万5000人同左25億ドル
アマゾン・ドット・コムテネシー州ナッシュビル100万平方フィート(約9万3000㎡)5000人同左2億3000万ドル
アップルテキサス州オースティン133エーカー(約53万8000㎡)5000人1万5000人10億ドル
グーグルニューヨーク市170万平方フィート(約15万8000㎡)7000人1万4000人10億ドル

 最も規模の大きい計画を発表したのはアマゾンだ。同社は2018年11月13日(米国時間)、2017年から探していた「第2本社(HQ2)」の立地としてニューヨーク市クイーンズ区のロング・アイランド・シティー地区と、ワシントンDCに近いバージニア州アーリントン市のナショナルランディング地区を選んだと発表した。

5万5000人の平均年収は15万ドル

 それぞれの拠点に25億ドルを投じ、東京ドーム約8個分に相当する400万平方フィート(約37万2000㎡)のオフィスを建設。2万5000人をそれぞれ新規に雇用する。アマゾンは同時にテネシー州ナッシュビル市にも2億3000万ドルを投じて5000人が働く拠点を新設すると発表した。

 上記3拠点の投資額は合計で52億3000万ドル、新規の雇用数は合計で5万5000人にも達する。同社はプレスリリースで、採用する従業員の平均年収が15万ドル(約1660万円)になると述べている。ホワイトカラーを5万5000人も採用するというのだ。

 アマゾンが選んだニューヨーク市のロング・アイランド・シティーは、同市が「ニューヨーク版シリコンバレー」にしようとしている場所だ。ロング・アイランド・シティーはマンハッタン島とはイースト川を挟んで隣接するが、その中州であるルーズベルト島には2017年、コンピュータサイエンス教育と起業家育成に力を入れる大学院大学のコーネル・テック(Cornell Tech)のキャンパスがオープンした。

ニューヨーク市におけるアマゾン第2本社の立地。イースト川の中州にコーネル・テックがある
出所:米アマゾン・ドット・コム
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 ニューヨークはシリコンバレーやボストンに比べると優秀な理系大学・大学院が少ないことが弱点とされていた。危機感を抱いた同市が誘致したのがコーネル・テックで、米国の名門大学である米コーネル大学(Cornell University)とテクニオン・イスラエル工科大学(Technion - Israel Institute of Technology)が共同で設立した。コーネル・テックがすぐ側にあるという立地は、デジタル人材の採用を進めるうえで最適だ。

 アマゾンは近年、広告事業が急成長している。2018年7~9月期決算では広告事業を中心とする「その他」事業の売上高が24億9500万ドルとなり、前年同期の2.2倍に増加した。米国の広告産業の中心地であるニューヨークに第2本社を置くことで、広告事業をより加速させる狙いがありそうだ。

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