音声アシスタントは家電製品にとって新しい付加価値になる。そう考える家電メーカーがいたら、期待は裏切られることになりそうだ。「Alexa」搭載モデルであっても価格は通常品と同じ――。米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)が、Alexa搭載家電で利益を追わない姿勢を打ち出しているのだ。

 「アマゾンのビジネスモデルにおいて、デバイス(ハードウエア)でお金を稼ごうとは考えていない。それはFireタブレットでも、Alexa搭載電子レンジであっても同じことだ」。そう語るのは、アマゾンでAlexaやスマートスピーカー「Echo」の製品開発チームを統括するトニー・リード(Toni Reid)バイス・プレジデントだ。

Alexaエクスペリエンス兼Echoデバイス担当バイス・プレジデントのトニー・リード氏
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 アマゾンは9月下旬にAlexa搭載電子レンジ「AmazonBasics Microwave」を発売したが、その価格はわずか59.99ドル(約6800円)。あまりの安さに驚いたのでリード氏に「アマゾンは電子レンジで利益を出すつもりはないのか」と質問したところ、上記のような返答があった。

59.99ドルと安価なAlexa搭載電子レンジ「AmazonBasics Microwave」
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 AmazonBasics Microwaveは、出力700ワットの電子レンジとしてはかなり割安である。同クラスの電子レンジの価格を「Amazon.com」や「Walmart.com」で調べると、韓国メーカー製が80ドル前後、無名ブランドの製品が50~60ドルほどだった。日本の白物家電メーカーであればAlexa搭載を付加価値と称して、電子レンジの価格を高めに設定するところだろうが、アマゾンはそうしなかった。「利益を追わない価格設定」(リード氏)だ。

 利益を追わない価格設定はFireタブレットなどにも共通する。10型タブレット「Fire HD 10」の価格は149.99ドルで、米アップル(Apple)が販売する9.7型タブレット「iPad」(329ドルから)の半額以下だ。7型の「Fire 7」に至っては49.99ドルという驚異的な安さだ。

デバイスは「サービスの受け皿」

 「アマゾンにとってデバイスとは、顧客が利用するサービスの受け皿だ。我々は顧客が利用するサービスの体験をより良くすることだけを考えている」。アマゾンのリード氏は、同社がFireタブレットなどのデバイスで利益を追わない理由をこう説明する。

 Fireタブレットは電子書籍サービス「Kindle」の受け皿であり、スマートテレビ「Fire TV Stick」は動画サービス「Amazon Prime Video」の、Echoスピーカーは音楽配信サービス「Amazon Prime Music」のそれぞれ受け皿である。利益を出すのはサービスである「Amazon Prime」の役目で、サービスを利用するデバイスでは利益を稼ぐ必要が無いという理屈だ。

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