米国のスタートアップ界隈で最近、「非集中型Web(Decentralized Web)」という単語を耳にするようになった。巨大なプラットフォーマーが支配する今日の「集中型Web」に対抗する概念であり、ユーザーがデータやプライバシーを完全にコントロールできるWebを目指す動きなのだという。非集中型Webを標榜するスタートアップの言い分を聞いてみた。

 「米グーグルは200種類以上の無料ツールを提供することでユーザーを追跡し、ユーザーのデータで大金を稼いでいる。非集中型の未来がやって来ることで、ユーザーは自分自身のデータとプライバシーのコントロールを取り戻せるようになる」。

米スチールシーのプラブハーブ・バードワジ氏(左)
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 そう訴えるのは、非集中型のメッセージングアプリケーション「Stealthy」を提供するスタートアップ、米スチールシー(Stealthy)のプラブハーブ・バードワジ(Prabhaav Bhardwaj)氏だ。バードワジ氏は2018年9月5~7日に米サンフランシスコで開催されたイベント「TechCrunch Disrupt SF 2018」の名物企画、スタートアップがアイデアを競い合う「Startup Battlefield」に登壇した。

 バードワジ氏が開発したStealthyは「セキュアかつプライベートなコミュニケーションを実現する非集中型メッセンジャー」であり、バードワジ氏はその特徴を「政府や企業による検閲が存在しないバージョンの『WeChat』だ」と表現する。

データの保存場所はユーザー自身が決める

 Stealthyのどこが非集中型なのだろうか。既存のメッセージングアプリケーションの多くが、事業者のサーバーを介して他のユーザーとつながる集中型のアーキテクチャを採用する。メッセージ履歴などのデータも事業者のサーバーに保管されている。

 それに対してStealthyでは、データの保存場所をユーザー自身が決める。デフォルトの保存先は米マイクロソフトの「Microsoft Azure」だが、後から変更したり、データを削除したりできる。データはエンド・ツー・エンドで暗号化されているので、ユーザー以外は利用できない。

 加えて、ユーザー認証やファイル管理の仕組みには、ピア・ツー・ピア(P2P)型の分散台帳システムであるブロックチェーン技術を採用している。この辺りが非集中型なのだという。

 非集中型Webは、NPO団体の米インターネット・アーカイブ(Internet Archive)や、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の「Digital Currency Initiative」などが熱心に啓蒙している概念だ。GAFA(Google、Amazon.com、Facebook、Apple)などの巨大なプラットフォーマーが支配する現在のWebを集中型(Centralized)であると定義し、そのアンチテーゼとして非集中型のWebを目指す。

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