米グーグル(Google)が揺れている。「邪悪になるな(Don't be evil)」の方針*1から逸脱する会社に社員が反発し、社外を巻き込んだ騒動に発展する事態が急増している。2018年8月初めに明らかとなった中国向けの検閲版検索エンジンに関する問題は、社員が誇りにしてきた社内の透明性が失われている現状も浮き彫りにした。

*1 グーグルの行動規範(Code of Conduct)から「Don't be evil」の項目はなくなったが、「And remember… don’t be evil」という文言が残り、現在も受け継がれている。

 「誰かがライブでツィートしているので、Dragonfly(中国向けの検閲版検索エンジンの開発コード名)に関する議論はこれ以上できない」。2018年8月16日(米国時間)、グーグル社内で開催された全社集会は、異例の展開になった。

 中国政府がブラックリストに指定した単語は検索できない検閲版検索エンジンをグーグルが開発している――。米メディアの「The Intercept」が検閲版検索エンジン「Dragonfly」の存在を報じたのは、8月1日(米国時間)のこと。それ以来グーグル社内では異を唱える従業員の声が高まっており、16日の全社集会は経営陣がDragonflyについて社員に話す初めての場となるはずだった。

 全社集会では、まずスンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)CEO(最高経営責任者)が「中国でもっとうまくやるためにどうすべきか、真剣に考える必要がある。しかし、中国向けの検索製品を間もなく投入する状況ではない」と説明。

 続いて共同創業者であるセルゲイ・ブリン(Sergey Brin)氏が「Dragonflyが私の注意を引いたのは、正直に言えば、(報道に端を発する)騒動のおかげだった」と弁明し始めた。ブリン氏が保有する豪華ヨット(日本風に言うと豪華クルーザー)の名前がDragonflyであるため、ブリン氏の関与が疑われていた。

新聞記者が全社集会をライブ中継

 その直後、グーグル社内に衝撃が走った。社外秘の全社集会の模様が「Twitter」でライブ中継されていることが分かったからだ。中継していたのは米紙「New York Times」のケイト・コンガー(Kate Conger)記者。本記事のここまでの記述も、コンガー氏のTwitter中継を基にしている。

 コンガー記者が全社集会に出席していたわけではない。グーグル社員の誰かがコンガー記者に全社集会の音声を提供していたもようだ。米ネットメディアの「Business Insider」によれば、グーグルの全社集会の内容がリアルタイムで社外に漏れたのはこれが初めてという。

 突然の事態にブリン氏やピチャイCEOは態度を硬化。16日の全社集会ではこれ以上、Dragonflyの現状について説明することは無かった。

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