ライドシェア大手の米ウーバーテクノロジーズ(Uber Technologies)や米リフト(Lyft)がいまだに新規株式公開(IPO)を実現できていない中、同じビジネスモデルを採用するスタートアップが先にたどり着こうとしている。一般人によるオンデマンド型の即時配達を手掛ける米ポストメイツ(Postmates)だ。

 ポストメイツは2019年2月7日(米国時間)、IPO準備のために非公開の上場目論見書(Form S-1)を米証券取引委員会(SEC)に提出したことを明らかにした。SECの審査に通れば、2011年の創業から8年でIPOが実現する。

 同社が提供するのは、店舗にある商品やレストランの料理を注文があったらすぐに配達するサービスである。即時配達の担い手(配達員)は、配達1件ごとに手数料を受け取る「独立契約者(事業者)」、つまりは一般人だ。一般人が自家用車や自転車を使って商品を配達する。

 ポストメイツのビジネスモデルは、ウーバーやリフトの白タクサービスとほぼ同じである。ユーザーがスマホアプリを使って商品や料理を注文すると、一般人がその仕事を請け負う。「オンデマンドエコノミー」や「ギグエコノミー」と呼ばれる仕組みだ。

ポストメイツのスマホアプリ
(出所:米ポストメイツ)
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 ポストメイツが商品と料理を運ぶのに対して、ウーバーは人間に加えて「Uber Eats」で料理も運ぶ。ウーバーは2015年に「Uber Rush」で商品を運ぶサービスも始めたが、こちらは2018年に終了している。

 ポストメイツはウーバーやリフトと同じく米サンフランシスコに拠点を置く。このかいわいには、同じビジネスモデルを採用した即時配達スタートアップがまだある。ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資した料理・食料品配達サービスの米ドアダッシュ(DoorDash)や、食料品や雑貨を配達する米インスタカート(Instacart)だ。

 ポストメイツ、ウーバー、リフト、ドアダッシュ、インスタカートのいずれも、推定企業価値が10億ドルを超える「ユニコーン」であり、2019年内のIPOを目指している。その中でもポストメイツが頭一つ抜けて、IPOにたどり着きそうな気配だ。

 ポストメイツは現在、米国の2940都市とメキシコで即時配達サービスを提供する。同社と提携して即時配達を可能にしている店舗やレストランの総数は25万件で、配達件数は毎月500万件以上という。

公開APIをアップルが採用

 ポストメイツの強みは、即時配達の仕組みをeコマース事業者などに開放していることだ。「Postmates API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」を用意し、このAPIを呼び出すだけでeコマース事業者のサービスにポストメイツの即時配達を統合できる。

 Postmates APIの著名ユーザーが、米アップル(Apple)だ。アップルは米国で、直営店「アップルストア」にある製品在庫を即時配達するサービスを提供している。ユーザーはアップルのWebサイトやストアアプリで「即時配達」のオプションを選ぶだけだ。ポストメイツのアプリから商品を注文する必要はない。

 もう一つの強みは、ロイヤルティー(忠誠度)の高い顧客を獲得していることである。その原動力となっているのが、月額9.99ドルまたは年額95.88ドルの「Postmates Unlimited」というサービスだ。このサービスに加入すると、15ドル以上の注文で配達料金が無料になる。同社によれば、配達の3分の1、都市によっては2分の1が、Postmates Unlimitedの加入者による注文だという。

 通常の配達料金は、ポストメイツと提携した店舗が1.99~3.99ドル、提携していない店舗が5.99~9.99ドルである。提携店舗は配達料金の一部を自己負担するが、その代わりにポストメイツのスマホアプリやWebサイトなどで優先的に表示される。

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