クラウドを使いたいが、「Amazon Web Services(AWS)」は使いたくない――。米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)と競合する流通業界で、米マイクロソフト(Microsoft)と戦略提携する例が増えている。様々な業界で高まるアマゾンの脅威が、クラウド分野で競合の追い風となっている。

 米国の流通業では売上高ランキングの1位と2位、6位がクラウド利用に関してマイクロソフトと戦略提携を結んだ。1位の米ウォルマート(Walmart)は2018年7月に、2位の米クローガー(Kroger)と6位の米ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(Walgreens Boots Alliance)は2019年1月に、それぞれ発表した。

 各社の提携内容はよく似ている。単にユーザー企業として「Microsoft Azure」を使うだけでなく、各社が進めるデジタル変革プロジェクトやAI(人工知能)プロジェクトにマイクロソフトが技術的に協力したり、時には資金を投じたりする。

商品棚のディスプレーにクーポンを表示

 食品スーパー大手のクローガーは、マイクロソフトと共同で流通業向けのデジタル店舗ソリューション「Retail as a Service(RaaS)」を開発。自社で活用するほか、他の流通業にも販売する。

 RaaSの第1弾が、紙の棚札の代わりとなるディスプレーを搭載した商品棚の「EDGE Shelf」だ。EDGE Shelfのディスプレーは商品価格だけでなく、商品棚の前にいる顧客に最適化したクーポンや広告を表示するほか、顧客や店舗スタッフが探している商品の場所を色で示す機能も備える。

電子棚札を備えた「EDGE Shelf」
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顧客に最適化した広告やクーポンを表示
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 クローガーは現在、スマートフォンで商品のバーコードを撮影するだけで会計が済む「Scan, Bag, Go」というアプリを提供している。EDGE Shelfは同アプリと連携することで商品棚の前にいる顧客を識別したり、顧客が探している商品を把握したりする。

IoTデバイスで顧客の健康管理

 ドラッグストア大手のウォルグリーンは、ITインフラの大半をMicrosoft Azureに移行する。38万人の従業員が「Office 365」を利用するほか、マイクロソフトと共同でヘルスケア関連ソリューションを開発する。顧客はIoT(インターネット・オブ・シングズ)デバイスを使って自身の健康状態を日々把握し、ウォルグリーンがそのデータに基づいて最適な医療機関を紹介したり、医薬品を推奨したりする予定である。

 ウォルマートは、小売店の空調設備や冷蔵設備などのセンサーデータを収集・分析して省エネ化を図る計画や商品配送トラックのルートを機械学習で改善する計画などを描き、マイクロソフトが技術協力するとしている。

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