「ガラスがあることに気付かず、頭をぶつけた」。作品の良しあしとは関係ない話だが、そんな声が方々から聞こえてくる展覧会が、東京・六本木の国立新美術館で開かれている。2019年10月2日から12月16日まで開催している「カルティエ、時の結晶」である。

 展示の主役はもちろん、高級ブランドのカルティエがこれまで創作してきた数々の宝飾品や高級時計だ。ただ、この展覧会にはもう1つ、別な楽しみがある。

 杉本博司氏と榊田倫之氏が主宰する新素材研究所(新素研、東京・港)の仕事ぶりを堪能できることだ。この新素研が会場構成を手掛けた。杉本氏のこだわり抜いた展示手法は驚きの連続である。何より、カルティエの宝石を一層輝かせて見せている。

 この記事は非常に細かい話になるが、既に展覧会を訪れた多くの人たちから聞こえてくる、ある共通した話題にスポットを当てる。それが冒頭に記したガラスの存在である。

 高級な宝飾品を収めるケースを覆う表面のガラスは、まるで存在していないかのように思える。そんな瞬間が鑑賞中に何度もやって来る。建築関係者なら、ガラスおよび照明、什器(じゅうき)といった建材や建て具へのこだわりにも注目してみると、めったに見られない数々の宝飾品の鑑賞と併せて、建築的な体験までできる。

会場全体を真っ暗にしたカルティエの展覧会(写真:日経アーキテクチュア)
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