頓挫した事業の“落とし前”をつけるのは誰か。全107戸が完売した後に建築確認が取り消された東京都文京区の分譲マンション「ル・サンク小石川後楽園」を巡り、建築主の1社であるNIPPOが事業中断の責任を関係各所に求める裁判を相次ぎ提起している。

NIPPO本社の外観。東京都文京区で進めていた小石川マンション事業を巡って指定確認検査機関を提訴した(写真:日経 xTECH)
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 建築主であるNIPPOと神鋼不動産が、小石川マンションの「建築確認の取り消し処分の取り消し」を求めた訴訟では、最高裁判所が2019年8月に建築主側の上告を退けた。法の解釈を巡る訴訟が決着したことで、NIPPOは事業面における責任を追及する方針にかじを切った。NIPPOは9月3日、建築確認を下ろした指定確認検査機関の都市居住評価センター(UHEC)を相手取り、約107億円の損害賠償を求める訴訟を東京地方裁判所に起こした。

 NIPPOは19年5月にも、東京都を相手取り、国家賠償法に基づく損害賠償請求訴訟を東京地裁に提起した。この裁判では50億円超の請求額を求めた。ル・サンク小石川後楽園は現在、「都の建築安全条例に違反した建設中の建物」となっており、是正には減築や解体など追加費用の掛かる対応が必要だ。最高裁の上告不受理で敗訴が確定した後の日経 xTECHの取材に対し、NIPPO法務部の本間洋部長は、「今後は事業面に主眼を置いて対応策を検討する」と説明していた。

小石川マンション事業を巡る相関図(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 UHECが建築確認を下ろした経緯を振り返ってみよう。建築主からの申請を受けた同社は、12年7月に小石川マンション事業に関する確認済み証を交付した。建築主は14年2月に変更確認申請をしており、UHECは同年3月に変更確認処分を行っている。15年4月にル・サンク小石川後楽園は完売したが、都建築審査会は同年11月に「1階が災害時に屋外に出られる避難階に該当しない」と判断して、変更確認処分を取り消す裁決を下した。

 NIPPOは9月3日付のリリースで、「法的に必要な注意義務を尽くすことなく、漫然と変更確認業務を行った」として、UHECの責任を指摘。法令に適合しない建築計画を見過ごしたことで損害が発生したと訴えた。今回は確認検査機関に対する損害賠償請求だが、「設計者の日建ハウジングシステムに対する損害賠償請求も検討している」(本間部長)と言う。

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