電線に倒れ掛かる倒木。市原市で9月10日に撮影。林業関係者がこうした現場を発見しても電力会社の職員が到着するまでは倒木を撤去できない(写真:日経 xTECH)
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 2019年9月9日に上陸し、首都圏に大きな被害を与えた台風15号。被災から1週間以上が過ぎた9月17日時点でも、千葉県内では約6万7200戸で停電が続いている。東京電力が9月13日に開いた記者会見で千葉県南部は復旧に2週間を要することが分かった。会見に臨んだ東京電力パワーグリッドの塩川和幸技監は、復旧作業が長期に及ぶ理由について、「配電線への倒木接触数も多く伐採に時間がかかっている」と説明した。

 記者は9月13日、JR内房線に沿うように千葉県内を君津市から館山市にかけて車で南下、被災地の現状を写真に収めた。

東京電力による千葉県内の市区町村ごとの停電復旧までに要する期間の見込み(資料:東京電力)
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 配電線に接触する倒木に関しては頭の痛い課題がある。千葉県森林組合連合会で被災状況を調査した職員は、「倒れた樹木が電線に引っかかっている現場も確認したが、誤って電線を切断するなどのリスクがあるため、電力会社が到着するまで倒木を取り除けない」と説明する。台風による森林の被害は一般的に風が吹いた方角に木々がなぎ倒されることが多いが、「根ごと倒れた樹木も多く、あらゆる方向に木が吹き飛ばされていた」と言う。

千葉県南部に位置する鋸南町(きょなんまち)の住宅街。9月10日に撮影。台風15号の強風によって電柱がなぎ倒された(写真:近隣住民の提供)
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 建物への被害が大きかった鋸南町(きょなんまち)に暮らすタクシー運転手の話では、9月13日の朝はまだ電気が使えない状態だった。彼の自宅近くでは電柱が強風でなぎ倒されたが、「3日後くらいに電力会社が来て、4時間ほどで新しい電柱を立てていった」と言う。台風上陸から5日経過した市街地を幾つか見て回った限りでは、多くの電柱が復旧を終えていたようだ。

倒壊した電柱を根元から解体する様子。館山市で9月13日撮影(写真:日経 xTECH)
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倒壊した電柱をクレーンでつり下げて移動する様子。館山市で9月13日撮影(写真:日経 xTECH)
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 経済産業省の9月15日時点の発表によると、発電機車約340台、復旧要員約1万6000人の体制で電力の復旧作業に当たっている。また、君津市内で倒壊した2基の送電線鉄塔は電線の接続による仮復旧を完了したという。菅原一秀経済産業相は被災状況を視察した南房総市で記者団に対し、電柱などの設置に関する技術基準を見直す考えを示した。

トラックが新しい電柱を運んできた様子。館山市で9月13日撮影(写真:日経 xTECH)
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 経産省電力安全課の担当者は、「電柱や電線を設置する際の技術基準は平均風速40m/秒の風圧荷重を考慮しているが、最大瞬間風速についての規定はない」と説明する。同省は、今回の停電が台風15号の強風を原因とするものか、または設備の老朽化によるものかを検証する。「停電が長期化した原因を検証した後に基準について検討を進める」(同省電力安全課の担当者)と言う。

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