滋賀県近江八幡市の新庁舎建設工事中止を巡って、前市長らが現市長に対し住民訴訟を起こす準備を進めている。

 7月26日に前市長である冨士谷英正市議や現市議、市民ら54人が住民監査請求書を提出していたが、8月20日付で却下された。冨士谷市議らは、小西理市長が2018年4月25日の就任日に、奥村組との庁舎建設工事請負契約を解除した行為が違法であるとして、小西市長に設計料や一部支払い済みの工事費など計4億円の損害を市に賠償するよう、監査委員に勧告を求めていた。

7月26日に前市長である冨士谷英正市議や現市議、市民など54人が提出した監査請求書。監査委員は8月20日付けで却下した(資料:冨士谷英正事務所)
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 小西市長は議会などで、契約解除は民法および工事請負契約に従った行為だと説明。その根拠の1つに民法641条の規定を挙げている。「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる」というものだ。

 これに対し請求人は住民監査請求書で、立法趣旨が「注文人がすでに必要としなくなった仕事を強いて完成させることは、注文人にとっても、社会的にも、無意味なことだから、請負人に損失を被らせないことを条件にして自由に解除することができるとした」ものであるとして、市において工事請負契約を解除しなければならない必要性はない、などと監査請求の要旨を説明していた。

 監査請求却下の理由について監査事務局は、「契約解除の日から1年3カ月経過しての請求について、正当な理由が認められなかったためだ」と説明する。

 住民監査請求については地方自治法で規定している。地方公共団体の長や職員などが違法もしくは不当な公金の支出などがある場合、住民が監査委員に監査を求めることができる。住民監査請求ができるのは、その行為があった日など起算日から1年までと規定している。ただし、「正当な理由」がある場合は1年を経過していても請求できる。

 監査事務局によると、冨士谷市議らは「19年5月に開かれた臨時会議でしか知り得なかった」ことを正当な理由として挙げたという。監査委員はこれを認めず、請求を却下した。

 監査請求却下の通知を受けて、冨士谷市議らは住民訴訟の準備を進めている。19年9月中旬ごろまでに訴訟を起こし、契約解除の違法性について争う考えだ。「シンポジウムを開くなど、市民と共に7年かけてさまざまな角度から検討し、議会で可決された庁舎計画だった」(冨士谷市議)という。

 中止された新庁舎計画は、地下1階・地上6階建て、延べ面積2万1290m2で、免震構造を採用していた。現庁舎解体などを含めて81億2000万円で奥村組が落札し、18年1月末に着工した。19年末竣工、20年1月開庁を目指していた。

2016年に作成された前計画での整備イメージ(資料:近江八幡市)

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