「横浜市が将来にわたって成長を続けるためには、IR(カジノを含む統合型リゾート施設)を実現する必要がある」。横浜市の林文子市長は2019年8月22日、IRの誘致に乗り出す方針を正式表明した。計画地は横浜港の山下ふ頭(同市中区)。20年代後半のIR開業を目指す。

「横浜IR」のイメージ。2019年8月22日、横浜市が会見で示した。18年度に実施した検討調査で、12事業者から山下ふ頭を立地とした提案があった(資料:横浜市)

 林市長は会見で、IR誘致を決断した背景について、自治体経営における「将来への危機感」を挙げた。主には以下の2つ。1つ目は長期的に見た税収源の不安定さだ。横浜市の税収入は個人市民税が約40%を占める。人口減少や高齢化が進展し、公共施設を保全・更新する負担も高まるなか、多様な財源の確保が必要だと訴えた。「税収を上げなければ、横浜の将来はない」(林市長)

横浜市庁舎でIR誘致を決断した理由を説明する林文子市長(写真:日経アーキテクチュア)
横浜市の人口構成の予測。2019年をピークに人口減少にシフトし、生産年齢人口の減少、老年人口の増加が進む。林文子市長は、消費の落ち込みや税収の減少、社会保障費の増加など、経済活力の低下や厳しい財政状況を説明したうえで、IR誘致の必要性を強調した(資料:横浜市)

 もう1つは、観光産業の未成熟さだ。横浜市によると、市を訪れる観光客の約9割を日帰り客が占める。東京都や大阪府などでは、日帰り観光客が占める割合は約5割だ。横浜市は日帰り客が大半を占める分、観光消費額の平均単価も低い。

 林市長は、「IRには横浜観光の弱点を克服する力がある。インバウンドや宿泊客の増加、ナイトタイムエコノミーの充実といった横浜の成長戦略をけん引できるはずだ」と述べた。

横浜市を訪れる観光客の消費金額。観光消費金額の平均単価は、宿泊客が3万3896円、日帰り客が6282円と、東京都や大阪府と比べると低水準となっている(資料:横浜市)

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