重さ約30kgのロボットがビルの外壁をゆっくりと登っていく。垂直の壁に吸い付く姿は生き物のようにも見える。このロボットは壁面の経年劣化を診断する「壁面走行ロボットによる外壁点検システム」。高松建設(大阪市)と青木あすなろ建設(東京・千代田)、非破壊検査(大阪市)の3社が共同開発した。2019年8月から運用を開始している。

高松建設と青木あすなろ建設、非破壊検査の3社が共同開発した「壁面走行ロボットによる外壁点検システム」(動画:高松建設)

 壁面走行ロボットのサイズは長さ610㎜、幅533㎜、高さ440㎜。カメラユニットや自己位置推定ユニットを装備すると重量は約30㎏になる。ロボット裏側の中央には空気を吸引するバキュームチャンバーがあり、その周囲にローラーが配置される。サイクロン掃除機と同じ原理で吸気することで車体が壁面に吸着し、ローラーの回転で走行する仕組みだ。突風などによる落下に備えて、作業時は壁面に垂らしたワイヤと車体を結束する。

壁面走行ロボットの仕組み。長さ610㎜、幅533㎜、高さ440㎜で重量は約30㎏になる(写真:高松建設)
[画像のクリックで拡大表示]
壁面走行ロボットの裏側。中央に配置したバキュームチャンバーで空気を吸引して壁面に吸い付き、吸引口周りのローラーの回転で走行する(写真:高松建設)
[画像のクリックで拡大表示]

 移動速度は最高で秒速64㎜。19㎜程度の段差なら乗り越えられる。壁面の材質の違いは走行に影響しない。高松建設技術研究所の加藤進副所長は、「緩やかな曲面部ならば走行可能だ。逆さまになって天井面を走ることもできる」と説明する。車体後方には尻尾のように突き出た打診測定機ユニットを装備。先端の球状部分を壁にこすりつけ、発生する音の波形を解析して外壁タイルの浮きなどを見つける。クラックなどはカメラで状態を確認できる。

 壁面走行ロボットは外壁の高さや面積などの情報を入力すれば自走して打診検査を行う。重点的に点検が必要な箇所は作業員がコントローラーを用いて車体を操作する。自己位置推定ユニットで外壁の調査箇所を図式化できるため、不具合が見つかった位置をプロットした図面を作製できる。作業員はその図面に従って補修作業ができるため、メンテナンスの効率を高めることが可能だ。

壁面走行ロボットのコントローラー。自走による打診検査が基本だが、重点的に点検が必要な箇所は作業員がコントローラーで車体を操作する(写真:高松建設)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら