暑さをしのげる涼しい場所として、すぐに思い浮かぶのが商業施設だ。ショッピングモールは冷房が効いていて快適であり、長居したくなる。三井不動産と竹中工務店は2019年7月29日、モールの快適性と省エネルギー性を両立させるため、18年9月に開業したばかりの商業施設「三井ショッピングパーク ららぽーと名古屋みなとアクルス」(名古屋市)に、クラウド上にある人工知能(AI)を使った省エネ空調制御システムを導入したことを明らかにした。

 19年は梅雨が長かった。しかし、同年7月下旬に関東以西が梅雨明けになると途端に、最高気温が35度を超えるような猛暑が連日続いている。モールの運営側にしてみれば、涼しさを求めて来る顧客の期待に応えつつも、空調の制御レベルを一層高める必要がある。

 そこで三井不動産と竹中工務店は天気予報や施設内外の気温、湿度といった環境データに加え、来館者の人数や服装といった情報を収集して、毎日AIで解析。データを基に、翌日のエネルギー需要を予測して、エアコンの運転を効率化している。館内の快適性を高めながら、年間30%以上のCO2排出量削減も目指している。

商業施設「三井ショッピングパーク ららぽーと名古屋みなとアクルス」の外観。設計・施工は竹中工務店(写真:三井不動産)
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 両社の取り組みは地域のエネルギーマネジメントの先導役として、16年12月には国土交通省から「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」として採択されている。

 ららぽーと名古屋みなとアクルスの店舗棟は、地上4階建ての鉄骨造。延べ面積は約12万4700m2。200店以上のテナントが入居する、このエリアでは最大級の商業施設である。地域の人たちが集まる場をより快適にすることで、集客力を一段と高める。

画像解析による「PMV空調」を導入

 今回のAI活用で特徴的なのは、館内に設置したカメラの画像解析を基に「PMV空調制御」を実施していることだ。画像解析はNECの技術を使っている。

 PMV(Predicted Mean Vote)とは、人体の熱的快適感に影響を及ぼすと言われる6つの要素「室温、平均放射温度、相対湿度、平均風速、着衣量、作業量」を基に算出する指標のことだ。PMV値が最適になるように、モール内の空調をコントロールする。

館内にカメラを設置し、AIによる画像解析で顧客の性別や年代、服装、混雑度を推定し、PMV空調制御に反映する(資料:三井不動産)
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 具体的には、多くの来館者が集まる吹き抜け空間やフードコートにカメラを設置し、画像解析で顧客の年代や性別の割合を推定。個人は特定せずに、来館者の特性に合わせた空調制御を実施する。

 さらに来館者の上着に注目。半袖か、長袖か、厚着かなどをサーモカメラによる熱解析から推測し、その結果をPMV空調制御に反映する。AIを使った画像解析で、服装の種類まで特定するのは珍しい。

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