人口減少数が全国の市区町村で最大となった神戸市が、都心部のタワーマンションなど住宅の建設を禁止または規制する“逆張り”の条例で、街を再活性化する戦略を練っている。地方自治体が住宅などの新設を厳しく規制する条例は、2006年4月に横浜市が横浜駅と関内駅周辺を住宅禁止地区に指定した「横浜都心機能誘導地区建築条例」に次ぐ2例目となる。

神戸市の鳥瞰写真。同市は2020年7月に都心部のタワーマンションなど住宅の建設を禁止または規制する改正条例を施行する(写真:神戸市)
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 総務省が19年7月10日に発表した住民基本台帳に基づく人口動態調査によると、19年1月時点の神戸市の日本人住民の人口は148万9820人。前の年と比べて6235人の減少となり、全国ワーストを記録した。久元喜造市長は7月11日の定例会見で、「これまでの人口減少対策というのは十分ではなかった」と説明している。神戸市では12年から継続して人口が減少している。それにも関わらず、市議会は7月1日に「神戸市民の住環境等をまもりそだてる条例」の修正案を可決し、都心部におけるタワーマンションなど住宅の建設規制に乗り出した。

 市は改正条例を20年7月1日に施行する。JR三ノ宮駅周辺の約22ヘクタールを「都心機能高度集積地区」に指定し、原則として新しい住宅などの建設を禁止。「住宅など」には寄宿舎のほか社会福祉施設なども含まれる。加えて、JR神戸駅から山陽新幹線・新神戸駅を含む約292ヘクタールを「都心機能活性化地区」として、敷地面積1000m2以上となる住宅などの容積率を上限400%に制限する。

神戸市の都心機能誘導地区。オレンジ色の「都心機能高度集積地区」では住宅などの新設を禁止。「都心機能活性化地区」は住宅などの容積率を最大400%に制限する(資料:神戸市)
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 都心機能活性化地区では現在、最大900%の容積率が認められている。改正条例の施行後には住宅などの用途に供する容積率は400%が上限となる。市都市局計画部都市計画課土地利用係の青木智幸係長は、「例えば、容積率が最大600%まで認められる都心機能活性化地区にマンションを建てる場合、住宅などの容積率400%を除いた残り200%については、商業施設や飲食施設など異なる機能を盛り込む必要がある」と説明する。

都心機能高度集積地区と都心機能活性化地区に既に存在する住宅などについては、1回目の建て替えについては条例施行時(2020年7月1日)の既存建築物と同じ床面積で新設ができる(資料:神戸市)
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 市によると、19年1月時点で改正条例の施行後に「既存不適格建築物」となるタワーマンションは都心機能高度集積地区に約15棟、都心機能活性化地区に約45棟立っている。市は資産価値の下落などに配慮。条例施行時(2020年7月1日)において当該地区に存在する住宅などは、1回目の建て替えに限り既存建築物と同じ床面積で新設ができるようにした。

 2回目の建て替えは、都心機能高度集積地区では認められない。都心機能活性化地区においては改正条例に従った400%が住宅などの用途の上限となる。 

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