雑居ビルや住宅が立ち並び、そこかしこにスナックや小料理店、料亭が点在する、東京・浅草観音堂裏エリア。通称「奥浅草」と呼ばれる、花街の雰囲気を今に残す地域がある。

 ここに2019年7月20日、新築の旅館「茶室ryokan asakusa(チャシツ・リョカン・アサクサ)」が開業した。茶室を模した小さな部屋が10室あるだけの旅館だ。不動産ビジネスを手掛けるレッドテック(東京都中央区)が運営する。

「茶室ryokan asakusa」は、スナックや小料理店が密集する奥浅草と呼ばれる地域にある(写真:レッドテック)
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 6階建ての建物は、一見すると宿泊施設には見えない。我々が普段想像する旅館のイメージとは、外観が大きく異なっている。浅草駅から奥浅草方面に向かうと、似たような建物ばかりで道に迷いやすい。

茶室ryokan asakusaの外観。建物は宿泊施設には見えない(写真:日経アーキテクチュア)
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 しかも周辺は昼間、営業していない店舗が少なくない。だが夜のとばりが下りるとスナックや小料理店が一斉にネオンをともし、華やぎだす。飲み屋をはしごして歩く常連客も多い。そんなスナック文化が残るエリアの一角に、茶室ryokanはある。

7m2の畳部屋に布団を敷いて泊まる体験

 一番小さな2つの部屋の広さは、約7m2しかない。この大きさが旅館の部屋として認められる最小サイズだという。トイレとシャワーは共用だ。

 全室が畳部屋(部屋の一部がフローリングのところもある)で、ベッドはない。布団を敷いて寝る。起きたら布団を畳む。旅館を知らない外国人なら、布団を敷くことだけで面食らうかもしれない。室内の設備は低いテーブルに座布団、障子、掛け花、坪庭など、最小限のものがあるだけだ。天井高は約2100mmと、こちらも茶室にならって低めにしている。

 料金は通常価格が1万8000円。狭さに日本らしい価値(ミニマリズム)を見いだそうとする外国人を主なターゲットにしている。この価格で茶室型の旅館が顧客に受け入れられれば、平米単価は2500円以上と非常に効率がいいことになる。

約7m2の茶室風の畳部屋。ベッドはなく、布団を敷いて寝る(写真:日経アーキテクチュア)
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部屋に布団を敷くと寝室になり、畳むとリビング(居間)になる(写真:レッドテック)
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