山口県山陽小野田市は、市立山口東京理科大学の危険物貯蔵所を設置する建物の耐火被覆範囲を誤って工事を発注していたと発表した。完了検査の手続き中に消防法令で定める構造の基準を満たしていないことが発覚した。薬学部のカリキュラムに支障を来さないよう、改修ではなく別途、独立した危険物貯蔵所を建設する。同市議会の一般会計予算決算常任委員会は2019年6月26日に、危険物貯蔵所新設のための設計委託料176万円の補正予算を可決した。

2017年3月時点での山口東京理科大学薬学部の整備イメージ。2018年4月に山口県内で初めて薬学部を開設した。危険物貯蔵所は2年度目から必要となるが、完成後に耐火被覆の範囲を誤って発注したことが発覚した(資料:山陽小野田市)
[画像のクリックで拡大表示]

 問題になった危険物倉庫棟は鉄骨造、地上1階建て、延べ面積267.84m2で、6つの倉庫と汚水処理施設から成る。6つの倉庫のうち約27m2の少量危険物貯蔵所と約49m2の危険物貯蔵所に、実験用の薬品や廃棄物を貯蔵する計画だった。

 消防法に基づく危険物の規制に関する政令に従って倉庫棟全体を耐火構造とする必要があるが、竣工した建物は危険物を貯蔵する範囲のみが耐火構造だった。市が入札図に誤った耐火被覆範囲を書き込み、そのまま施工された。

危険物倉庫棟の「倉庫6」を危険物貯蔵所とするため、建物全体を耐火構造とする必要があった(資料:山陽小野田市)
[画像のクリックで拡大表示]

 山口東京理科大学は16年4月に公立大学化。設置者が東京理科大学から山陽小野田市へ移った。18年4月には山口県内で初めてとなる薬学部を開設した。16年度から19年度にかけて新校舎3棟や危険物倉庫棟など薬学部施設の整備を進めている。これらの施設の基本設計・実施設計はあい設計(広島市)、工事監理は大建設計(東京都品川区)が担当、工事は分離発注方式を採っている。

 17年3月の計画変更確認申請で、建築確認済みだった校舎の計画変更と併せて倉庫棟の計画を提出。その時点では貯蔵する薬品の種類や数量が確定せず、一般倉庫として申請した。その後、あい設計は市の代理で同年10月に危険物製造所等設置許可申請を提出。宇部・山陽小野田消防組合(小野田消防署)は11月に許可書を交付した。

 政令では、貯蔵する危険物の量に従い建物の位置や構造、設備の基準などを定めている。山口東京理科大学の危険物貯蔵所のように建物内の一部に指定数量の10倍超かつ20倍以下の薬品などを保管する屋内貯蔵所の場合は、壁、柱、床および梁(はり)が耐火構造である建築物の1階または2階のいずれか1つの階に設置するよう定めている。さらに、屋内貯蔵所とする部分は、加えて屋根もしくは上階の床も耐火構造とする必要がある。

 小野田消防署への申請では基準通りに倉庫棟を耐火構造としていた。建築確認申請時の一般倉庫から消防署への申請では危険物貯蔵所に変わっていたが、完了検査時に軽微な変更として手続きをすることにした。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら