国際交流基金は2019年7月8日、イタリア・ベネチアで2020年5月23日から11月29日まで開催される「第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」の日本館展示のキュレーターを、建築家で明治大学准教授の門脇耕三氏(1977年生まれ)に決定したことを明らかにした。門脇氏が提案した展示テーマは「エレメントの軌跡――建築の生産の連鎖をデザインする」。これまでの日本館展示では異例といえる「会場でつくり続けながら見せる」展示手法となる。

日本館の展示最終日のイメージ。制作物は屋外に展示。会期中に徐々に増えていく(資料:国際交流基金)
[画像のクリックで拡大表示]

 門脇氏は公式資料にこう記している。

 「我々が展示するのは、日本ではごく当たり前の木造住宅である。人口構造が世界に先駆けて大きく変化しているこの国では、耐用年数を過ぎて解体を待つばかりの住宅が、おびただしい数生まれている」

 「そんな住宅のうちの1棟を、ベネチアまで移動して展示する。ただしベネチアに運ばれた住宅は、元の姿をとどめているわけではない。輸送コンテナ に収めるべく、いったん解体された住宅は、ある部分は展示台へ、ある部分はベンチへ、ある部分は物見台へといった具合に、それ自身が展示のための設えとして読み替えられる。バラバラになった住宅は、エレメントごとに現地で再び組み立てられて、それぞれが新しい生を得ることになる」

 日本館の1階は制作スペースとし、2階は資材庫に充てる。制作した作品は屋外に展示する。

 門脇氏を含む6人の建築家がそれぞれ2週間程度の滞在期間で、リレー方式により制作を続けることになる見込みだ。会期中、屋外の展示スペースには制作物が増えていき、逆に2階の資材庫の部材は減っていく。

資材庫となる2階室内の最終日のイメージ(資料:国際交流基金)
[画像のクリックで拡大表示]

 門脇氏はこう続ける。「その状況はSNSを介してチームで共有され、作業は次なる建築家と職人へと引き継がれる。こうした協働はあたかもクラウド上のドキュメントの共同編集作業のようだが、そこで『完成』という概念はどこまでも希薄であり、 だから制作は会期を通じて継続される。すなわち、ここで展示されるのは、古い材料と新しい材料が混在し、幾人もの建築家や職人の創造性が重層したキメラ的な混成物であり、またその生成のプロセスそのものである」

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら