夏場の猛暑が日常となった日本。建設現場では暑さ対策として電動ファン付き作業服の導入が進む。だが、この便利な作業服と法令改正で着用が原則義務化されたフルハーネス型墜落制止用器具の併用には思わぬ危険が潜んでいる。それぞれの構造の相性によって、作業者が高所から落下した際に命綱となるランヤードや身に着けたハーネスがファン付き作業服をずり上げてしまう。その結果、ファン付き作業服が作業者の首を絞める可能性があるのだ。

フルハーネス型墜落制止用器具とファン付き作業服を併用して装着した作業員が高所から墜落した状態のイメージ。ハーネスや命綱となるランヤードがジャケットをずり上げて首を絞めてしまう可能性がある(資料:スリーエムジャパン)
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 墜落制止用器具を製造するスリーエムジャパン・コーポレートコミュニケーション部の担当者は、「フルハーネス型落下制止用器具は2019年2月の法令改正で建設現場などでの着用が義務化された。今夏からファン付き作業服と併用する現場が増えるとみている。そこで、併用する際のリスクを研究した」と話す。同社が懸念したのは落下制止用器具が本来と異なる使い方になるためだ。

フルハーネス型の墜落制止用器具のイメージ(資料:日経コンストラクション)
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 一般的に墜落制止用器具は作業着の一番上に取り付けるが、ファン付き作業服を使用する場合はハーネスを装着した上にジャケットを羽織る。ファン付き作業服は取り込んだ空気を襟首や袖口に送って涼を取るため、服の上からハーネスを取り付けると空気の流れを遮ってしまうのだ。ランヤードはファン付き作業服の背中などの空いた部分に通してハーネスに接続する。この状態で作業者が落下すると、その衝撃でハーネスが身体からずり上がってしまい、ジャケットの襟元が作業員の首を絞めてしまう可能性がある。

ミズノ製のファン付き作業服「エアリージャケット」。ランヤードはファン付き作業服の背中の開いた部分に通してハーネスに接続する(写真:ミズノ)
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 このほか、ショックアブソーバーが展開しないリスクがある。ショックアブソーバーは墜落時に瞬間的に強い衝撃が人体にかかるのを防ぎ、その機構部分はランヤードより太くなっている。この太い部分がファン付き作業服の内側に入っていると、服に取り付けた金具などに引っかかって作動しなくなる場合がある。

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