世界的巨匠が設計した建物の改修を巡り、思わぬ対立が発生している。愛媛県は2019年6月10日、愛媛県県民文化会館の改修に不備があったとして、設計者の内藤建築事務所(京都市)に対し、入札参加資格を1年間停止する処分を下した。設計の修正を指示した上で、約1000万円の損害賠償を請求する方針だ。これに対し、内藤建築事務所は「全く納得できない」として、県の資格停止処分に対する不服申し立てを検討している。

愛媛県県民文化会館の外観(写真:愛媛県文化振興財団)
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 愛媛県県民文化会館は丹下健三氏が設計し、1986年に完成した。県は老朽化に伴いホールの座席や照明などの改修を計画。17年7月に内藤建築事務所が約5000万円で改修設計業務を受託し、18年3月に設計図書を納品した。

 県は19年1月に改修工事の入札を公告した。建設会社が同年3月に、納品された設計図ではメインホールの照明が正常に作動しないと指摘。それを受け、県は入札を中止した。内藤建築事務所が設計を修正したため、県は着工時期を当初予定していた19年3月から6月に延期した。

愛媛県県民文化会館の改修を巡るトラブルの経緯
愛媛県が説明する経緯 内藤建築事務所の主張
2017年7月 愛媛県県民文化会館の改修の設計を内藤建築事務所に委託
18年3月 内藤建築事務所が設計図書を納品
18年11月 契約に基づきLED照明の見積もりを3社以上から取るよう指示したが、内藤建築事務所は従わなかった LED照明の納入先3社から見積もりを取ったため問題ない
19年1月 改修工事の入札公告
19年3月
  • 内藤建築事務所の設計ミスが原因で調光器盤が抜けていることが判明
  • 1社しかつくっていない仕様のLED照明を使っていることが判明
  • 県からの指示で納品後に調光器盤を図面から一旦除いた
  • LED照明の仕様について県は了解していた
19年4月
  • 入札中止を発表
  • 内藤建築事務所が設計を修正
19年5月 再入札公告
19年6月 施工者が決定。当初は3月に予定
20年1月(予定) 改修工事の完了
(資料:取材を基に日経アーキテクチュアが作成)

 県は工事に当たって、内藤建築事務所に委託していた監理業務の契約を解除。県土木部の職員が直営で監理業務に当たることにした。改修工事の完了は予定通り、20年1月を見込む。

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