生活困窮者らが暮らす「無料低額宿泊所」に関し、部屋の広さなどの最低基準が設けられる。厚生労働省は「無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準」を定める省令案を2019年6月7日に公表した。省令案への意見は同年7月6日まで募集している。18年6月に成立した改正社会福祉法に基づくもので、施行は20年4月1日を予定。生活困窮者を劣悪な環境に住まわせて生活保護費を徴収する、いわゆる「貧困ビジネス」を排除するのが狙いだ。

厚生労働省は「無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準」の省令案を2019年6月7日に公表した(写真:日経アーキテクチュア)
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 厚労省は、18年11月から19年6月に開催した「社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会」(座長:岡部卓・明治大学公共政策大学院教授)における議論を踏まえて、省令案を作成した。現行の社会福祉法では無料低額宿泊所の定義が明確になっていないため、無届け施設や法的な位置付けの無い施設に自治体が届け出を求めたり、指導したりすることが困難だった。

 規制の対象となるのは、居室を生活保護の住宅扶助額以下で提供している生活困窮者向けの施設だ。入居対象を生活困窮者に限定していない場合でも、入居者の5割以上が生活保護を受けている一定の施設も含める。単なる賃貸アパートと区別するため、契約内容についての要件を定める。

 省令案では、無料低額宿泊所の居室の床面積を原則7.43m2以上とし、地域の事情によっては4.95m2以上も認めることを打ち出した。他にも居室について(1)1室当たりの定員は原則1人、(2)地階は不可、(3)堅固な扉を設ける、(4)出入り口は廊下などに直接面している、(5)間仕切り壁は堅固なものとし、天井まで達している――といった内容を義務付ける。

 共用部には炊事設備や洗面所、便所、浴室、洗濯室の設置を義務付ける。施設の提供するサービスによっては共用室や食堂、相談室も必要だ。建物は建築基準法や消防法に従うものとした上で、消防法で設置義務がない施設でも消火器や自動火災報知設備などの設置を努力義務とする。

 経過措置として、既存の建物に関しては、居室の定員や扉、出入り口、間仕切り壁の条件は省令施行から3年後まで適用しない。

 加えて面積の条件に関しても猶予する。15年6月30日時点で利用されていた建物のうち、面積基準を満たさないものは自治体と協議して床面積を広くするなどの対応を進める。

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