「今では考えられないミスだ」。AIS総合設計(宇都宮市)技術管理部の関谷典浩エグゼクティブディレクターは沈んだ声で話す。同社の前身の荒井設計が設計を手掛けた守谷中学校(茨城県守谷市)の校舎の屋根が、建築基準法で定める日影規制に違反していると2019年6月13日に守谷市教育委員会が発表した。校舎は05年4月に完成したもので、日影図の作製の際に、屋根の高さを誤って入力していた。建築確認・完了検査は特定行政庁の茨城県が担当した。

守谷中学校の配置図。問題のあった屋根は、赤線で囲まれた校舎棟北側のもの(資料:守谷市)
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問題のあった屋根。屋根は勾配屋根で、最高高さ約15.2m。屋根下部の教室の採光を目的にハイサイドライトを設置している(資料:守谷市)
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 校舎は鉄筋コンクリート(RC)造の3階建て。違反があった屋根は校舎棟北側のもので、最高高さは約15.2m。屋根は北側からの採光を目的にハイサイドライトを設置している。

 校舎があるのは第一種中高層住居専用地域だが、校舎の日影が発生する北側の地域は第一種低層住居専用地域。守谷市では、日影規制の規制対象区域を定めており、第一種低層住居専用地域では敷地境界線からの水平距離が10mを超える範囲で2時間以上の日影を生じさせてはならないとしていた。

 日影規制では、冬至において対象区域内に日影を生じさせる高さ10m以上の建築物は、対象区域外にあっても当該対象区域内にある建築物と見なすとしている。そのため、第一種低層住居専用地域における日影規制が適用される。確認申請時に提出した日影図では条件を満たしていたが、実際の建物高さで日影図を再作製したところ、2時間以上日影が発生する部分があった。

確認申請時に提出した日影図。2時間日影ラインが敷地境界線から10mのラインを超えていない(資料:守谷市の資料に日経アーキテクチュアが加筆)
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実際の建物高さで作製した日影図。赤線の2時間日影ラインが敷地境界線から10mのラインを超えている(資料:守谷市の資料に日経アーキテクチュアが加筆)
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 校舎の軒高は約12.7m。関谷エグゼクティブディレクターは、「10年以上前の設計なので、日影図作製ソフトに入力した正確な数値は分からない。調査の結果、軒高の数字を入力して作製した可能性が高い」と説明した。

 調査では校舎近隣の住宅1軒に影響を及ぼしていることも分かった。守谷市教育委員会学校教育課の小林伸稔・次長兼課長は、「屋根の是正工事後、影響を受けた住民と話し合い、賠償関係について協議を進める」と語った。

 AIS総合設計は設計ミスを認めた。数値の誤入力は意図的ではないとした上で、是正工事と賠償にかかる費用を負担するとしている。

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