竹中工務店が将棋AI(人工知能)で有名なHEROZ(東京都港区)と2017年から開発してきた建築構造設計向けAIの全体像が、日経 xTECHと日経アーキテクチュアの取材で明らかになった。「リサーチAI」「構造計画AI」「部材設計AI」と呼ぶ3つのAIを、建築プロジェクトの段階に応じて使い分け、構造設計にまつわる単純作業の7割削減を目指す。HEROZが将棋AIで培った技術をパッケージ化した「HEROZ Kishin」をベースに開発している。

竹中工務店とHEROZが開発している3つのAI(資料:竹中工務店)
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 開発チームが最初に取り組んだのが、これまで竹中工務店が社内に蓄積してきた膨大な設計データの整理。同社の一貫構造設計システム「BRAIN(ブレイン)」で設計した400プロジェクト、25万部材の情報をデータベース化した。この中から、進行中の案件と似た事例を簡単に引き出せるようにしたのが「リサーチAI」だ。

 構造設計の初期段階では、類似事例を参考にしながら検討を進める。しかし、国内の各事業所から過去に設計した建物の情報を集めるのに時間がかかる上、経験の浅い構造設計者は、どの事例を参照すべきか迷いがち。面積や階数、スパンなど、建築構造を特徴付けるパラメーターは10~20個もあり、単純な比較が難しいからだ。

 リサーチAIでは、10次元以上のパラメーターを2次元に縮約(圧縮)し、総合的に類似度が高いプロジェクトを分かりやすく示せるようにする。機械学習の一種で、データの集まりを類似度に応じて分類する「クラスタリング」を用いた。

 開発を担当する同社技術研究所先端技術研究部数理科学グループの木下拓也研究主任は、「ベテランが持つ嗅覚のようなものをAIで補い、若手であっても有益な情報に簡単にたどり着けるようにする」と話す。

過去の類似プロジェクトを簡単に検索できる「リサーチAI」の概要(資料:竹中工務店)
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