AGCが開発した「窓ガラスに透明ディスプレーを組み込む技術」を採用した車窓の想像図。窓ガラスから見える風景に重ねて映像や文字を表示できる
(資料:AGC)
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 函館に向かう電車の車窓から移ろう景色を眺めていると、ガラスに文字のアナウンスが浮かび上がってきた。「まもなく右手前方に駒ヶ岳が見えてまいります」と表示された文字が、風景に溶け込むように目に映る。乗客たちは座席から身を乗り出して文字の奥に広がる山並みに目を凝らした――。

 これはAGCが世界に先駆けて開発した「窓ガラスに透明ディスプレーを組み込む技術」が普及した近未来の想像図。窓ガラスから見える風景に重ねて情報を表示することが可能で、乗客からは空間に文字や映像が浮かんでいるように見える。AGCは2019年5月15日、同技術を開発したと発表した。AGC事業開拓部新ガラス商品展開部infoverre商品開発センターの福井毅センター長は、「23年ごろの実用化を目指す」と言う。

AGCが考える電車社内のデジタルサイネージ。これまでは液晶ディスプレーを使用した製品の開発が中心だったが、2023年ごろには有機ELディスプレーを組み込んだ製品を実用化する
(資料:AGC)
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 同技術は、複層ガラスに有機ELディスプレーを挟んでガラス越しに映像を表示する仕組みだ。電源を切っている間は透明な窓ガラスになる。ガラスに文字や映像が表示する技術は、あらゆる窓をデジタル情報を映すプラットフォームに変える可能性を秘める。将来はタッチ機能も追加して、情報を相互伝達できるガラス窓に進化する予定だ。

 福井センター長は、「電車用の窓ガラスは車両の振動などに耐える性能が必要なため、最も厳しい使用環境となる。電車で使えるならば建築用などにも応用ができる」と話す。

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