滋賀県野洲市に立つ老朽化した空き家マンション「美和コーポ」。2018年6月の大阪北部地震や、その後の18年8月と9月の台風で外壁などが崩落して危険な状態が続いている。市は19年3月18日、区分所有者に対して自主解体を求める命令書を送付した(写真:日経アーキテクチュア)
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 築47年の3階建て鉄骨造の分譲マンションは、空き家というよりも廃虚と呼ぶにふさわしい外観だった。滋賀県野洲市の野洲川西岸近くに立つ「美和コーポ」は、10年以上前から人の暮らしが途絶えている。建物は老朽化が激しい。交通量の多い道路に面した外壁が落下するなど危険な状態だ。野洲市は2019年3月18日、10人の区分所有者に対して、空き家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特措法)に基づく解体を命令した。複数の所有者が存在する共同住宅に対して自主解体を命じるケースは、全国でも珍しい。

 市の税務課の資料によると、美和コーポは市街化区域に立ち、1972年に完成している。全9室で延べ面積は408.12m2、敷地面積は198.85m2となる。管理組合は存在せず、メンテナンスは行われていない。そのため、築40年経過した12年ごろから経年劣化が目立ち始めた。同年11月には市生活安全課に、「手すりがぶら下がっている」「階段が崩落している」などの苦情が入った。

2013年6月に撮影された美和コーポの様子。市の指導により所有者らが外れかかった手すりを切断するなどの処置をした(写真:野洲市)
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美和コーポを巡る経緯と今後の対応。19年5月7日までに自主解体が実施されなければ、行政代執行による解体が同年11月中旬に行われる予定だ(資料:野洲市の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 市の指導によって当初は、所有者らが落下する危険のある手すりの撤去などを行っていた。しかし災害の多かった18年には、地震や台風によって崩落する部位が急に増えた。市都市建設部住宅課の担当者は、「18年6月に発生した大阪北部地震で市道に面した外壁が崩落して、室内が丸見えになった。その後も立て続けに上陸した台風によって3階の内壁が外に落ちるなど、危険な状態が続いていた」と話す。市は同年9月3日に美和コーポを立ち入り調査し、空き家対策特措法に基づく特定空き家に認定。その後は所有者に対し、危険な部位の撤去などの改善を指導してきた。

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