故菊竹清訓氏が設計した旧都城市民会館(宮崎県都城市)を巡る存廃論議に決着がついた。2019年3月19日の市議会本会議で、会館の解体工事費など約1億9300万円を含めた当初予算案が可決した。本議会に先立って3月15日に開かれた総務委員会では、解体工事費などを全て削除した修正予算案が5対1の賛成多数で可決。しかし、本議会ではこの修正予算案が否決となり、解体が決定した。市は6月末にも工事を始める。

旧都城市民会館。建築家・菊竹清訓氏(1928~2011年)の設計で1966年に完成し、2007年に閉館した。写真は18年5月に撮影(写真:日経アーキテクチュア)
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 総務委員会の審議では、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)から危機遺産警告を受けたことなどを踏まえ、参考人として日本イコモス理事の山名善之氏と鹿児島大学の鯵坂徹教授を招致。世界的に見た会館の価値に関する意見や会館の現況に関する専門的な説明を求めた。

 総務委員会は意見聴取や現地視察などを経て、解体工事費などを削除した修正予算案を3月15日に可決。保存支持者の間では、ひとまず解体を免れるとの期待が高まった。しかし、本議会の採決ではこの修正案が否決された。賛成12、反対16だった。

 会館は1966年に完成し、2007年に閉館。鉄筋コンクリート造の下部構造の上に、扇を広げるようにコの字の鉄骨フレームを架け、屋根をつっている。メタボリズムの代表例に挙げられることも多い。06年度にはドコモモ・ジャパンによって日本を代表する近代建築に選定された。

 市は当初予算に旧市民会館費として解体工事費のほか、メモリアル制作費も計上。建築的特徴や設計者など関係者の思い、市民の思い出などをまとめる記念誌や動画、模型などを制作する考えだ。4月から制作に向けて動き出す。

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