熱海市東海岸町の国道135号沿いにある高層ホテル「ラビスタ熱海(仮称)」の建設予定地。かつては中層ホテルが複数建っていたが、10年以上前に解体された。市の公聴会では近隣住民から、高さ約60mのホテルが国道沿いに建つと「花火や海が見えなくなる」という懸念の声が上がった(写真:日経アーキテクチュア)
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 ホテルの開発ラッシュに沸く静岡県熱海市で、眺望の悪化を懸念した近隣住民の要望により、高層ホテル計画の見直しが求められている。渦中にあるのは、全国でホテルを展開する共立メンテナンス(東京都千代田区)が東海岸町の国道135号沿いに建設予定の「ラビスタ熱海(仮称)」だ。建設予定地は熱海サンビーチ前の傾斜地で、JR熱海駅から徒歩圏にある。

 熱海市には景観法の制定以前に定めた「まちづくり条例」がある。ホテルなどを開発する事業者は、同条例に基づいて市と事前協議を行い、「開発事業計画審査願」を提出する。市観光建築部まちづくり課の担当者は、「事前協議で計画の見直しが求められた例は珍しい」と話す。

 熱海市は2019年1月に公聴会を開き、近隣住民らの意見を聞いた。公聴会では「花火が見えなくなる」といった眺望に関する声が多かった。この結果を受け、有識者による市のまちづくり審議会が近隣住民の意見を吟味し、2月19日に事業者に対して「市との再協議」や「近隣住民への再説明」を求める答申骨子をまとめた。

 事業者が市に提出した建設概要によると、ラビスタ熱海の敷地面積は9550m2。地上18階建ての客室棟をはじめ大小13棟を建設する。客室数は327室で、このうち66室は従業員などが使用する寮室だ。建築面積は4144m2、延べ面積は3万4602m2となる。設計は佐野建築研究所(東京都渋谷区)が担当。19年3月に着工し、22年度中の完成を目指す予定だった。

ラビスタ熱海の配置図。A棟とF棟が高層棟だ。市の景観形成ガイドラインに従い、JR東海道本線などの車窓を視点場とした海への眺望を確保した設計としている(資料:熱海市の資料に日経アーキテクチュアが加筆)
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 1990年代にリゾートマンションが急増したことを受け、市は景観を守るためにまちづくり条例に基づく景観形成ガイドラインを定めている。宿泊施設が集積する東海岸町地区は景観地区となっており、建築物の最高高さについて「相模灘からの視点で岩戸山(標高734.3m)のスカイラインを隠さない約60m以下が望ましい」としている。また、JR東海道本線などの車窓を視点場とした海への眺望を確保するため、「建築物の高さ25m以上の高層部分は幅が間口(前面道路に接する敷地の幅)の3分の1程度に抑えること」を求める。ラビスタ熱海の建設計画は、これらガイドラインの規定を満たしている。

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