筆者が建築雑誌「日経アーキテクチュア」に配属された約30年前には、美術館で開催される建築の展覧会は「1年に1度あるかないか」だった気がする。この10年ほどだろうか、建築関連の展覧会が本当に増えた。

東京都港区の森美術館で2018年4月25日~9月17日まで開催された「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」の会場風景。当初予想の2倍の約54万人を動員した。写真手前は、古代出雲大社本殿の50分の1模型(写真:日経アーキテクチュア)
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 ある美術館の広報担当者はこう明かす。「建築展は、美術展に比べて客の入りに当たり外れがない。メモを取りながら見るような真面目なファンが多い」。つまり、建築展は企画側が安心して開催できる市場が醸成されつつあるのだ。建築関係者が見に来るだけではなく、一般の建築好きが増えているという。「建築の面白さを一般に伝えること」を“隠れミッション”にしている筆者としては、本当にうれしい変化だ。

 で、お前は誰?という声が聞こえてきそうなので、自己紹介しておくと、この記事を書いているのは日経アーキテクチュア編集長の宮沢洋である。

 今回の記事は、そんな建築展人気の高まりがあって可能になった“建築展3館まとめてリポート”である。現在、都内やその近郊の3つの美術館で建築関連の展覧会を開催中。2019年3月24日までの間は、それらを1日で見て回ることができる。

 3つの展覧会とは、埼玉県立近代美術館「インポッシブル・アーキテクチャー もうひとつの建築史」(2019月2月2日~3月24日)、国立西洋美術館「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」(2019年2月19日~5月19日)、東京ステーションギャラリー「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」(2019年2月16日~4月14日)である。お世辞ではなく、どれも面白い。

 しかも、それぞれの会場となっているのが、著名建築家による時代のエポックと呼ぶべき建築だ。この“建築濃度”は奇跡と呼んでも言い過ぎではないだろう。

日経アーキテクチュア2019年3月14日号掲載予定の「建築日和」のために描いたイラスト(イラスト:宮沢 洋)
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 勝手にお薦めプラン(上記イラスト参照)をつくってみたので、その順に見どころを紹介する。

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