築地市場跡地の鳥瞰(ちょうかん)写真。東京都はMICE施設を開発するに当たって、墨田川沿いにスーパー堤防などを整備する計画を明らかにした。隣接する浜離宮恩賜庭園の防潮堤とスーパー堤防を連携することで、竹芝方面への歩行者ネットワークの拡大も構想している(写真:東京都)
[画像のクリックで拡大表示]

 都心に約23ヘクタールという敷地を創出した築地市場の移転。東京都が2019年1月23日に発表した「築地まちづくり方針(素案)」では、築地市場跡地に国際会議場などの機能を中核としたMICE(会議、報奨旅行、国際会議、展示会)施設を段階的に整備する案を示した。19年1月23日から2月21日にかけて意見募集したうえで、同年3月末には正式な方針を公表する。

 築地市場跡地の管理は独立採算を原則とした中央卸売市場会計が賄っていたが、税収を主な財源とする一般会計に移す。都は18年度補正予算案に5423億円を計上。築地市場跡地を中央卸売市場会計から一般会計に有償所管換えし、開発を主導する。小池百合子都知事は19年1月25日の定例会見で、「場外市場にも頑張ってもらいたいため予算を盛り込んだ」と説明した。

 築地市場跡地の再開発は民間の力を有効活用しながら段階的に進める。隅田川に面した船着き場の整備から始め、浜離宮庭園側の「おもてなしゾーン」、環状2号線北東側の「交流促進ゾーン」を整備する予定だ。船着き場は20年ごろに事業者を募集して定期借地による活用を想定。おもてなしゾーンは22年ごろから、交流促進ゾーンは20年代半ばから同様に募集をかける計画だ。

東京都が築地市場跡地に導入する機能のイメージ図。オレンジ色の点線で囲った部分が約23ヘクタールの築地市場跡地。段階的に開発を進め、「東京国際フォーラム」や「東京ビッグサイト」など既存のMICEと連動した創発MICE拠点を目指す(資料:東京都の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 築地まちづくり検討委員会の座長を務める日本大学理工学部の岸井隆幸特任教授は、「時間のかかる大規模開発は、決め打ちで進めると計画に柔軟性が失われて、後で困ることになる」と言う。行政はまず、周辺地域の価値向上に資する基盤づくりに注力すべきだと指摘する。

 素案によると、防災面では隅田川沿いに高潮に備えたスーパー堤防を整備する。築地市場跡地の南西に位置する浜離宮庭園には防潮堤が整備されており、スーパー堤防と連結すれば、浜松町や竹芝までを結ぶ歩行者ネットワークが広がる。

 また、交通の利便性向上を目指し、豊洲などの湾岸地域から虎ノ門方面を結ぶ交通手段の整備も視野に入れる。「インフラの充実により、東京国際フォーラムや東京ビッグサイトなど、既存MICEと一体運用できる創発MICE が形成できる」と岸井特任教授は話す。

 創発MICEとは何か。以下、岸井特任教授のインタビューを掲載する。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら