2022年12月の竣工を目指して名古屋市が推進する名古屋城天守閣の木造化による復元。計画に反対する市民団体が2018年12月17日、河村たかし市長と市職員を相手取り、設計者に支払った基本設計費約8億5000万円を市に返還するよう求める住民訴訟を、名古屋地方裁判所に起こした。市民団体は、市が設計者と結んだ実施設計契約の解除や、整備事業の停止も求めている。

2018年12月17日に住民訴訟を提起した原告代表の森晃氏(写真左から4人目)。現存の天守閣は昭和遺構であり、取り壊す前に十分な議論が必要だと訴える(写真:名古屋城天守の有形文化財登録を求める会)
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 名古屋城天守閣整備事業の設計者は竹中工務店。16年3月に市が実施した技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)による公募型プロポーザルで優先交渉権者に選ばれた。17年5月には整備事業に関する基本協定を結んでいる。

 竹中工務店は18年3月30日付で基本設計図書を市に納めた。その成果品目録には、文化庁に現状変更の許可を求める申請書がなかった。訴状では、国の特別史跡である名古屋城跡での天守閣復元は文化財保護法の定めにより、現状変更などの許可申請を文化庁に届け出る必要があるとし、市がプロポーザルの業務要求水準書で、「基本設計の段階で文化庁の審査を受ける」と定めていたとも指摘した。

 原告代表を務める「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」の森晃氏は、文化審議会の諮問結果は得られておらず、建築の仕様について確定していないと説明。「基本設計図書の作成業務は完結していない。未完結の業務に代金を支払うのは違法だ」と訴える。

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