重さ1.3トンの免震ダンパーを台車に載せ、免震層から人力で引き出した。免震ダンパーの検査データ改ざん問題で、異例の再調整作業を余儀なくされた施設でのダンパー取り出し作業の様子だ。この施設は鳥取県立中央病院(鳥取市)の新棟。施設側が日経クロステックの取材に応じ、こうした交換作業の模様が明らかになった。再調整作業は2018年12月14日に完了、病院は15日に竣工式典を開催し、16日に開業した。

 KYB側は、免震の場合は交換作業が制振より「比較的容易だ」とするが、今回の取材で、実際には困難も多いことが見えてきた。

 搬出入作業でネックとなったのは、免震層が配線・配管のスペースを兼ねていることだ。病院の隠樹正人参事(新病院建設推進室)は、こう語る。「免震材料の交換は30年以上先の大規模修繕の際を想定していた。いったん取り付けたら、その時期まで取り外さないということだ。今回の作業は完全な想定外だ」。

鳥取県立中央病院の免震層から不正ダンパーを搬出する様子。写真中央の筒がダンパーで、約1.3トンある。オレンジ色の養生シートで覆って台車に載せ、人力で動かした。免震層は配線や配管が入り組んでおり、かがまなければ通り抜けられない(写真:鳥取県)
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鳥取県立中央病院の免震層から不正ダンパーを搬出する様子。地面側には約2万ボルトの高圧電線が配線されており、段差ともなっていた。配線を覆う形で鋼製の架台を設置、架台の上を滑らせる形で通過させた(写真:鳥取県)
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 免震層の床には約2万ボルトの高圧電線が通り、天井には医療用ガスや上下水などの配管が至る所でつられている。床にも天井にも障害物があり、最も狭い場所は高さ1m以下。大人の身長では腰をかがめなければ通れない。

 施設は1級河川の千代川に面しており、大規模水害の際でも医療サービスの提供を続けるため、建物の1階と2階の間に免震層を置く中間層免震を採用していた。1階には非常時用の燃料タンクが設置されており、免震層はパイプスペースとする計画だった。

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