公共のコンペやプロポーザルでは、最終候補者による公開プレゼンテーションが定着してきた。プレゼン資料を分かりやすくつくっても、さらにどのように説明するかが問われる。それは、民間のプロジェクトも同様だ。公開プレゼンの“常連”である平田晃久氏(平田晃久建築設計事務所主宰)に、プロジェクトの導入部からプレゼンまでのプロセスを聞いた。2回に分けてポイントをお伝えする。

新たなプロジェクトの設計に取り組む場合、最初はどんな手順をたどりますか。

 クライアントをはじめ、プロジェクトに巻き込まれる人たちと具体的に会うと圧倒的に情報量が増え、入力が多ければ多いほど、思い切った提案ができます。

 私が学生の頃は、コンペ時には思い切った提案をし、普段のプロジェクトは実直に取り組むというような印象がありました。しかし、最近のコンペは不確定要素が多い。実際に設計の仕事をしていると、むしろ個人のクライアントや企業のトップクラスのパーソナリティーや思想に触れたほうが、思い切った提案がしやすいと感じます。

平田晃久氏(平田晃久建築設計事務所 主宰)。ひらた・あきひさ:1971年大阪府生まれ。94年京都大学工学部建築学科卒業、97年同大学大学院工学研究科修了、伊東豊雄建築設計事務所入社。2005年平田晃久建築設計事務所設立。15年から京都大学准教授、18年から同大学教授。07年に「桝屋本店」でJIA新人賞、18年に「太田市美術館・図書館」で村野藤吾賞および第59回BCS賞を受賞(写真:日経アーキテクチュア)

公共のコンペやプロポーザルはいかがですか。

 要項を皆で読み込もう、背後にはどんな事情があるか考えようとするけれど、期間も限られていて、なかなか全部が読み切れません。公共のコンペ・プロポではクライアントの置かれた状況が見えにくいので、敷地が持つ物理的・空間的なコンテクストを読み込みますが、やはり敷地に行ったとき、体で感じる情報量が多く、この場所だったらこんな建築がいいだろうという直感がすごく手掛かりになります。

ナインアワーズは立地が違うプロジェクトが数多く続いています。こうした場合のアプローチはいかがですか。

 最初は東京・赤坂から始まって、竹橋へと続いています。プロジェクトが1個や2個のうちは「カプセルホテルとは、どういうものなのか」を考えました。実際、赤坂の設計をしてみると、すり鉢状の敷地で、その底辺りに立つことになり、いろいろなレイヤーがあるのが全部見えた。街にカプセルが接しているのは面白いなと。一からカプセルだけで秩序をつくって、それが新しいとか言わなくても、どこに行ってもその街の持っている力みたいなものと掛け合わせていくと、おのずと面白い建築ができると思い始めています。

 最近は東京・麹町や名古屋市でもやっていますが、名古屋では名古屋城をヒントに金にしてみようとか(笑)、普通では考えないアイデアが巡ってきます。できるだけ何も考えずに敷地に行ってみて、そこにいろいろな要素を引き寄せるとしたら、どんなものを引き寄せるかを考えています。たいていの場合は敷地に行ったときに何となく案が浮かびます。

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