JR渋谷駅の南側エリアに新たな経済圏が生まれる――。東京急行電鉄が東横線渋谷駅と線路の跡地を再開発し、複合施設「渋谷ストリーム」を9月13日に開業した。デザインアーキテクツを務めた、シーラカンスアンドアソシエイツ(以下CAt、東京都渋谷区)の小嶋一浩氏(2016年急逝)の遺作となるプロジェクトだ。

 同じく線路跡地開発である「渋谷ブリッジ」も、渋谷と代官山エリアの中間地で同日にオープン。渋谷ストリームから渋谷川沿いの遊歩道、そして渋谷ブリッジへと、線路跡地に沿って一挙に更新することで、代官山エリアへの新たな人の流れをつくり出す狙いだ。

9月13日に開業した渋谷ストリームを明治通りから見上げる。東急東横線渋谷駅は2013年に閉鎖。新ビルでは縦動線の歩行者ネットワークを黄色いエスカレーターで強調した。右に見えるのが、地下2階の東京メトロ半蔵門線・副都心線渋谷駅から、地上2階の歩道橋や建物の貫通通路へとつながる通路(写真:吉田 誠)
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渋谷駅南側のエリアで渋谷ストリームなどの位置関係を示した図。旧東横線渋谷駅の跡地に立つ渋谷ストリームから、渋谷川沿いに南下した場所に渋谷ブリッジが完成した。さらに南側の代官山駅近くには、同じく東急電鉄が線路跡地を活用し、2015年4月に開業した「ログロード代官山」がある(資料:渋谷ブリッジ)
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 渋谷ストリームの事業主は東急電鉄ほか周辺の地権者など。設計は、東急設計コンサルタントのほか、デザインアーキテクツとしてCAtが入った。施工は東急建設と大林組による渋谷駅南街区プロジェクト新築工事共同企業体(JV)が担当した。工事費は約700億円に上る。

渋谷ストリームを北側から見た外観ファサード(写真:吉田 誠)
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 特徴的な高層タワーのデザインについて、小嶋氏と共にデザインアーキテクツを務めたCAtの赤松佳珠子代表は、「流れ(ストリーム)を想起させる白いパネルをランダムに配置することで、地表から空へとグラデーショナルにつながる。時々刻々と変化する空や渋谷の街を映す、うつろいの表情を狙った」と説明する。

 渋谷ストリームの規模は地下4階・地上35階建てで、高さは約180m、延べ面積は約11万6000m2に及ぶ。構成は、1~3階に商業ゾーン、4~6階にはインキュベーションオフィスのほか、700人まで収容可能なホールが入る。4階と9~13階には「渋谷ストリームエクセルホテル東急」、14~35階の総賃貸可能面積4万6000m2のオフィスには、Google日本法人が入居する。

3階までの低層階を商業施設、中層階をホテル、高層階をハイグレードのオフィスフロアとして構成した(資料:渋谷ストリーム)
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 東急電鉄が渋谷再開発で目指す重要なコンセプトは、クリエイティブ・コンテンツ産業の集積だ。2017年4月に渋谷と原宿エリアの間でオープンした「渋谷キャスト」をはじめ、27年度に全体開業を予定している「渋谷スクランブルスクエア」などを含めて、17年以降、渋谷エリア全体で延べ約27万m2のオフィスを供給する考えだ。

 同社の高橋和夫社長は、「ユーザーの利便性や回遊性を向上させ、訪れる楽しさを体感してもらうことが渋谷駅周辺開発のコンセプト」と語る。Google日本法人が操業の地である渋谷に戻ってきたことについても、「イノベーション、人的交流の起爆剤になる」と期待を寄せる。

9月5日に渋谷ストリームで開かれた記者会見の様子。壇上に立つのが、東京急行電鉄の高橋和夫社長(写真:日経アーキテクチュア)
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