ベターリビング(東京都千代田区)は、冬季の入浴中の溺死などを防ぐために「水回り設計用温熱環境暫定水準案」をまとめた。水回りを中心とした住宅改修を進めるための当面の設計目標として設けた。2018年7月9日に開催された「住宅における良好な温熱環境実現のためのシンポジウム」で示した。

 消費者庁が人口動態統計を分析したところ、近年、家庭の浴槽での溺死者数が増えている。16年には5138人に達した。その約9割が65歳以上の高齢者だ。同庁では、安全な入浴の目安として「湯温は41℃以下、湯に漬かる時間は10分まで」を推奨している。

 熱い湯に長く漬かる危険な入浴に至るリスクが高いのは、寒い家に住む人だ。国土交通省スマートウェルネス住宅等推進事業の調査を通じて判明した。脱衣所が18℃未満の住宅では、42℃以上の熱い湯に30分以上漬かる長湯の確率が、それよりも暖かい住宅に比べて1.8倍高かったのだ。危険入浴を避けるには、脱衣所や浴室を暖める必要がある。

居間・脱衣所ともに18℃未満の寒冷群では、熱い湯に長時間漬かる確率が、居間・脱衣所ともに18℃以上の温暖群に比べて約1.8倍に増した(資料:国土交通省の資料に日経 xTECHが一部加筆)
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 ただし、長時間過ごす居間が寒かったり、床面が冷たかったりする場合は冷感が強く、浴室や脱衣所だけを暖めても、危険入浴の習慣が改まらない可能性がある。

 「浴室や脱衣所だけでなく、居間も暖かく保つことが重要だ」。ベターリビングが設置した「住宅における良好な温熱環境実現研究委員会」で温熱環境研究部会長を務める慶応義塾大学理工学部の伊香賀俊治教授は、このように説く。

 こうした状況を踏まえて作成したのが、冒頭の暫定水準案だ。事業者による活用を念頭に置いた。

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