2016年4月に発生した熊本地震の前震で倒壊したブロック塀。下敷きになった男性(当時29歳)が亡くなり、女性(当時57歳)が足を骨折して今日も後遺症が残っている(写真:被害者の関係者が提供)
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 通学途中の小学4年生の女児が命を落とした、大阪北部地震でのコンクリートブロック塀倒壊事故。ブロック塀は建築基準法を守るべき工作物だ。大阪府高槻市は6月18日に記者会見を開き、市立寿永小学校で発生したこの事故の原因について、「建築基準法に適合していなかった」と説明した。倒れたブロック塀の下敷きになる事故は、大地震のたびに繰り返されている。2016年4月の熊本地震でも同様のケースで死傷者が出た。この事故の遺族らは、ブロック塀の所有者を相手取り、総額6789万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こしている。

 熊本地震の事故は、被害の大きかった熊本県益城町惣領地区で起きた。社会医療法人の理事長が自宅敷地の境界線付近に設置したブロック塀が、16年4月14日午後9時26分ごろに発生した前震で倒れ、男性(当時29歳、A氏)が下敷きとなった。暗闇の中で背面からブロックの塊が降りかかり、A氏は圧迫による外傷が原因で死亡したとみられる。死因は外傷性ショック死と診断された。

ブロック塀の設置状況を示した図。約2mの擁壁ブロックの上に、約2.15mのブロック塀が積んであった(図:日経ホームビルダー)
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 この事故では、現場の隣地に暮らしていた女性(当時57歳、B氏)も被害者となった。倒れたブロック塀に足を潰されたまま、3時間も救助を待ったという。左大腿骨や左脛骨などを骨折し、今日も障害が残るB氏は、常に杖を必要とする生活を強いられている。B氏の親族は「(ブロック塀の所有者である)医療機関の理事長からは何の連絡も、謝罪もなかった」と憤る。

 A氏の母親とB氏はそれぞれ、ブロック塀所有者を過失致死罪と過失致傷罪で17年10月に刑事告訴、同年11月20日に御船警察署が受理した。捜査では、被告訴人となる所有者がブロック塀が倒壊する危険性を認識していたか焦点になっているという。遺族らが民事訴訟を起こしたのは18年3月。ブロック塀に瑕疵があったとして所有者に対し、A氏の母親に慰謝料など4184万円、B氏には治療関係費など2604万円の支払いを求めた。

 原告側の弁護士を務める今村一彦弁護士は、「民事訴訟では『通常備えるべき安全性の有無』を問う」と説明する。捜査の焦点はブロック壁所有者の認識だが、民事訴訟ではより建築的な側面に踏み込んだ内容が議論されることになる。6月20日には熊本地方裁判所で1回目の口頭弁論があった。

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