大工が大幅に減少して、住宅の建築需要に対応できなくなる――。野村総合研究所(NRI)は、加速する大工不足に警鐘を鳴らした。

 NRIがまとめた2018年度から30年度までの住宅関連値の予測によると、17年度は95万戸あった新設住宅の着工戸数は、30年度には60万戸にまで減少する〔図1〕

 他方、大工の人数は15年度の35万人から、30年度には21万人にまで減ると予測〔図2〕。住宅建築の需要縮小ペースを上回る勢いで大工の数が減少し、住宅の建築需要に対応できなくなる可能性が出てきた。NRIが2018年6月13日に発表した。

〔図1〕新設住宅着工戸数の実績と予測結果。人口減少やGDPが横ばいで推移することなどを加味し、新設住宅着工戸数を推測。右肩下がりで減少する見込みだ(資料:野村総合研究所)
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〔図2〕大工の人数の実績と予測結果。ベテラン大工が引退するとともに、若年層の労働力不足が顕在化して大工は減少する(資料:野村総合研究所)
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 NRIの予測では、新設住宅着工戸数は、17年度の95万戸から右肩下がりで推移する。国内の人口や世帯数が減少するほか、名目GDP(国内総生産)がほぼ横ばいで推移すると見込まれていることが大きな理由という。20年度は77万戸、25年度は69万戸、30年度は60万戸と試算した。

 過去2度の消費税増税で見られた駆け込み需要については、前回(14年4月)、前々回(97年4月)に実施された消費税率の変更時ほど目に見える形で現れないという予測だ。理由は税率が上がるタイミングにあるという。消費税が10%になるのは、19年10月の予定だ。年度の変わり目ではないことから、需要が分散して複数年にまたがると見ている。

 利用関係別に見ると、30年度には持ち家が20万戸、分譲住宅が14万戸、貸家(給与住宅を含む)が26万戸となる〔図3〕

 特に貸家については、相続税対策として過熱気味だったアパート建築が18年度には沈静化することが、減少の引き金となりそうだ。17年度の42万戸から18年度には35万戸(貸家の供給が緩やかに継続した場合は39万戸)、20年度には31万戸になると見ている。持ち家や分譲住宅の推移と比べると、落ち込みが大きい。

〔図3〕新設住宅着工戸数の実績と予測結果(利用関係別)。2018年度以降、アパート建築が急減。貸家の着工戸数は急激に減る見込みだ(資料:野村総合研究所)
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