2020年開業に向けて5月9日、「弘前市芸術文化施設(仮称)」が着工した。設計者であるATELIER TSUYOSHI TANE ARCHITECTS(フランス・パリ)の田根剛代表にインタビューした。金色に輝く屋根などの改修内容を紹介した前編に続き、後編では、産業遺産を文化施設として残す意義について語ってもらった。また、10月から「東京オペラシティアートギャラリー」(東京都新宿区)と、「TOTOギャラリー・間」(東京都港区)が連携して同時開催する、自身初の個展についても一足先にお伝えする。

――これまでにも「新国立競技場案 古墳スタジアム」(2012年)の提案や「エストニア国立博物館」(2016年完成)で、「場所の記憶」をコンセプトとしてきました。弘前でのプロジェクトもその流れのなかにあるものですか?

フランス・パリに拠点を持つATELIER TSUYOSHI TANE ARCHITECTSの田根剛代表(写真:山田 愼二)
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 老朽化した近代建築や産業遺産が、耐震性不足などを理由に壊される例が昨今増えています。でも、ある時代を代表する建築をしっかりと次の時代に引き継ぐことは、建築家の1つの役割だと思っています。

 学生時代を過ごした北海道の旭川市で、「旭川市総合庁舎」(設計:佐藤武夫/1958年竣工)の取り壊しが問題となり、その反対運動に参加しました。しかし2年ほど前に建て替えが決まり、反対運動だけでは保存できないと実感しました。「弘前市芸術文化施設(仮称)」のプロジェクトに参加することとなったのは、その直後です。建築を次の時代に引き継ぐことへの思いは、さらに強くなっていました。

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