日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)の「2017時短アンケート」では、1カ月の平均残業が過去最低の水準となった。17年は新国立競技場の工事現場で過労自殺が発生するなど、労働環境に関して建設業は世間からの厳しい目にさらされた。日建協のアンケートでは、業界を挙げて進めた時短の努力が成果を上げているようにみえるが、現場で働く事務系作業員の満足度は改善していないとの調査結果が出た。時短推進は建設業の魅力改善につながるのだろうか。

新国立競技場の工事現場。2017年から「時間外労働の短縮化」や「ストレスチェックの実施」などの対策を打ってきた(撮影:江村 英哲)
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 国を挙げて取り組む働き方改革。特に建設業は、実労働時間や出勤日数が製造業などほかの産業に比べて突出して多い。建設各社はかねてから時間短縮を進めており、その成果は少しずつ表れている。日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)が2月13日に発表した「2017時短アンケート」では、残業に当たる1カ月の平均所定外労働時間が過去最低の水準となった。しかし、この結果を楽観してばかりはいられないようだ。

日本建設産業職員労働組合協議会(日建協)の「2017時短アンケート」の結果。残業にあたる1カ月の平均所定外労働時間が過去最低の水準となった。全体では46.8時間と、日建協が掲げる「45時間以内」に迫る(出所:日本建設産業職員労働組合協議会)
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 建設会社の労働組合が加盟する日建協は、35の組合と約3万2000人の組合員で構成される。建設業で働く事務系労働者の労働環境や勤務時間などの実態を把握するため、1972年から毎年11月に、時短アンケートを実施してきた。出勤簿などからは読み取れない残業などを分析するために、2000年からは調査方法を修正している。17年に調査した時短アンケートでは、加盟組合員の4割超となる1万3797人から回答を得た。

 調査は設計や事務などの「内勤者」と、現場作業を管理する「外勤者」に分類される。17年の調査では約6割が外勤者だった。内外勤全体の結果では、1カ月の平均所定外労働時間が46.8時間で過去最低となった。日建協では「全体の所定外労働時間の平均を45時間以内にする」という目標を掲げており、時短は確かに進んでいるように見える。ただ、日建協政策企画局長の伊藤弘泰副議長は「組合員の比率が高い外勤者は特に残業が多い。結果に注目する必要がある」と話す。

グラフ上から全体、内勤、外勤の所定外労働時間の公布別推移。100時間を超えるような度を越した残業時間は大幅に減っている(出所:日本建設産業職員労働組合協議会)
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 外勤者は施工現場での作業を終えた後も、撮影した写真の整理や、報告書の作成で勤務時間が長くなりがちだ。近年はIT機器の導入や、トップダウンによる作業所の閉所時間繰り上げなどによって、勤務時間は短くなっている。実際、日建協の17年調査でも、外勤者の平均所定外労働時間は63.7時間で、前の年(71.1時間)に比べて7.4時間短縮した。100時間以上の所定外労働を余儀なくされた割合も、前の年の20.9%から13.8%にまで減少した。

 しかし、伊藤副議長は「17年の調査は長時間労働が是正されているのに、建設業に魅力を感じる外勤者が増えなかった。意外な結果だった」と話す。

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