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 台湾東部の花蓮市では、2月6日(現地時間)に発生した地震によって高層ビルなどが倒壊。合計17人が犠牲となった。なかでも被害が大きかったのが12階建ての「雲門翠堤大楼」だ。巨大ビルが傾いた姿は大きなインパクトを与えた。日経 xTECHは、平面図を独自入手。現地の構造エンジニアの見解を交えて、推定される倒壊のメカニズムとその原因について探った。

台湾東部で2月6日(現地時間)、マグニチュード6.0の地震が発生。震度7級(台湾の震度階級)を記録した花蓮市では、合計17人の死者を出した。余震が続くなか、「雲門翠堤大楼」では行方不明者の捜索と、専門家たちの調査が同時に行われていた。撮影は2月10日(写真:菅原 由依子)
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 「雲門翠堤大楼」を訪れると、周囲は規制線が張られ、川沿いの歩道から街の人々が不安そうに見守っていた。そのときは行方不明だった2人の夫婦が建物内で発見され、消防隊や軍隊が遺体を運び出す瞬間だった。

敷地の北側から撮影。3階までが地下にもぐり込んでいることが分かる(写真:菅原 由依子)
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 花蓮市を襲った2月6日の地震は、合計17人の犠牲者を出した。そのうち14人が雲門翠堤大楼にいた人々だ。建物は地下1階・地上12階建てで、鉄筋コンクリート造。1階にレストラン「阿官火鍋」、2、3階にホテル「漂亮生活旅店」、4階以上に住居などが入っていた。敷地は花蓮市の中心部で「美崙渓」という川のそばにあり、竣工してから築20年以上がたつ。

敷地横を流れる川の対岸、南側から撮影(写真:菅原 由依子)
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 現場の敷地を南側から眺めると、地震によって建物は南西側に大きく傾き、1~3階が地下へ沈み込んでいた。4階のベランダは地面に接触し、干された洗濯物が風にたなびいていた。犠牲者が多かったのは2階南側に並んでいたホテル客室だ。家族や夫婦などの宿泊客が遺体で発見された。

南側の建物足元から撮影。4階のベランダが地面に接していた。「脇に停まる自動車を見ると傾くなどの影響がないので、地面が沈んだというよりも、地下室に建物が沈み込んだ可能性が高いことが分かる」と構造エンジニアの施忠賢氏は言う(写真:菅原 由依子)
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 敷地を回り込んで北東側へ行くと、2階の天井が露わになっていた。柱は引っ張られて壊れ、鉄筋も曲がったりちぎれたりした状態でむき出しになっていた。現地メディアによれば、施工は北歌建設公司、設計は游徳栄氏が担当。低層階では入居していたレストランなどが建物の構造に手を加えた可能性も指摘されており、関係者の責任問題が報じられていた。

敷地北東側から見た。建物は南西方向へ倒れ、北東から見ると2階の天井などが露出していた(写真:菅原 由依子)
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 現地を訪れた和田章・東京工業大学名誉教授は、ひと通り建物の被害を観察した後、「1階が見当たらない」とつぶやいた。