2016年4月に発生した熊本地震以降、住宅を繰り返し襲う巨大地震への対策として、戸建て住宅向けの制振システムが注目されている。その効果を検証する実験が1月29日、京都大学防災研究所の実験施設で行われた。ここでは、制振システムを搭載していない試験体と搭載した試験体の実験結果を、動画を交えて紹介する。

 戸建て向け制振システムの実大実験を主催したのは、住友ゴム工業だ。試験体を2つ作成し、一方に同社が製造、販売する制振システム「ミライエ」を搭載。京都大学防災研究所の振動台「強震応答実験装置」で試験体を揺らして比較した。明治大学理工学部建築学科の梶川久光准教授との共同実験だ。

 ミライエは、英字の「A」のような形状が特徴的な制振システムだ。梁に取り付ける上部のユニットに高減衰ゴムを搭載。このゴムが変形して熱を発することで地震のエネルギーを吸収する仕組みだ。

 同社は約1年前の17年1月27日に、類似の実大実験を行っている。詳細は「戸建ての制振はどう効いた?熊本地震のあの瞬間を再現」で報じた。前回は木造軸組み構法の試験体だったが、今回は枠組み壁構法(ツーバイフォー構法)の試験体で実験した。

 試験体の詳細は、次の通りだ。

試験体の詳細

構法:枠組み壁構法(ツーバイフォー構法)
構造:2階建て
耐震性能:耐震等級3に相当(制振システム分の耐力は除く)
1階平面:5.46×3.64m
2階平面:5.46×3.64m
階高:1階が2.7m、2階が2.7m
屋根荷重:スレート屋根(軽い屋根)を想定

注:試験体は日本ツーバイフォー建築協会が発行する「枠組壁工法建築物 くぎ打ちの手引」に従い作成。9mmの構造用合板を使用して、くぎは、周辺部がCN50F@100、中間部がCN50F@200を使用した

実大の加振実験で使用した試験体の全景。枠組み壁構法(ツーバイフォー構法)の2階建てだ(出所:住友ゴム工業)
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試験体の大きさは、5.46×3.64m。階高はそれぞれ2.7m(資料:住友ゴム工業)
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 京都大学の強震応答実験装置は、左右と前後方向だけでなく、上下方向にも動く。より現実に近い地震動を再現できるのが特徴だ。この施設で、熊本地震の地震動に相当する震度7相当の大きな揺れを3次元的に再現した。

 検証に使用した地震波は、気象庁が公開している益城町宮園波と、防災科学技術研究所の基盤強震観測網(KiK-net)が観測した益城波だ。益城町宮園波は熊本地震の前震を想定し、益城波は本震を想定して採用した。いずれも震度7程度の揺れをもたらした地震波だ。

 実験は、地震波を複数回入力して行った。最初に益城町宮園波で揺らして、試験体を検証。その後、益城波で試験体を揺らす。試験体が倒壊していなければ、さらに益城波で揺らす。これを繰り返して、試験体の状況を確認した。

実験は、京都大学防災研究所の振動台「強震応答実験装置」を使用して行われた。左右と前後方向だけでなく、上下方向にも動き、より現実に近い地震動を再現できるのが特徴だ(撮影:安井 功)
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