2017年から、大手IT企業が「量子コンピュータ」に関する取り組みについて続々と発表している。なぜ各社は、まだ「商用化」とまでは言い難い量子コンピュータについて積極的に取り組みを公開しているのだろう。米マイクロソフト、米IBM、米グーグルの3社を取り上げて分析してみよう。

Microsoft Igniteで量子コンピュータへの取り組みを発表するマイクロソフトのサティア・ナデラCEO(出典:筆者)
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量子コンピュータ開発の壁

 量子コンピュータを作るのが難しいのには、大きく二つの理由がある。

 一つは、量子コンピュータが周りの環境に対して極めてデリケートなことだ。外部から光子や電子が入るだけで計算が不可能になる。

 もう一つは量子コンピュータにおけるデータの最小単位量子ビット(Quantum bitまたはQbit)の集積化が極めて難しいことだ。処理速度を上げるには量子ビットの集積化が必須となるが、スーパーコンピュータをはるかに上回る性能を実現するには、50量子ビットというサイズが必要となる。

 また、量子の状態を安定させるためには、冷却が重要な意味を持つ。超伝導体を絶対零度(マイナス273℃)に近い温度まで冷やす必要があるが、その技術はフィンランドのBlueForsという装置ベンダーが実質的にほぼ独占している状態だ。

IBM Think2018での量子コンピュータの発表風景。絶対零度のイメージを出すためドライアイスでステージを演出している(出典:筆者)
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 しかし、近年こうした技術的ハードルは徐々にクリアされつつある。量子ビットの集積化も米インテルが2018年1月に49量子ビットの量子チップの開発を発表。その後、3月に72量子ビットの量子チップを発表するなど実用化に近づいている。

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