米国でテレビ業界の再編が進んでいる。直接のきっかけは、米Netflixや米Amazonが提供する動画配信サービスが急速にユーザーを獲得していること。2018年1月に米ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市「CES」に参加し、テレビ業界の在り方が激変していることを現地で強く感じた。米国より数年遅れで動画配信サービスが広がり始めた日本でも、将来的には他人事では済まないかもしれない。

2018年1月に米ラスベガスで開催されたCESでは、Googleの広告宣伝がジャックし、サイネージからモノレールまで、どこを見渡しても目に入ってくるのは「Google」の文字だった
(撮影:吉岡 佐和子、以下同じ)
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音声AI搭載テレビが登場

 CESの歴史はテレビの歴史といっても過言ではない。1967年に始まったCESの主役は常にテレビだった。CESを重視するテレビメーカー各社が21世紀に入って、特に注力してきたのが「ユーザーインタフェース(UI)」だ。

 2007年のNetflixによる動画配信サービス開始を皮切りに、米国では202の動画配信サービスが展開されている(2017年第3四半期時点)。ケーブルテレビが主流だった米国だが、多くの視聴者がより安価な動画配信サービスに流れた。だが、膨大なコンテンツがある動画配信サービスで、見たいコンテンツにたどり着くのは至難の業だ。そこで、テレビのUIを工夫して、見たいコンテンツを探せるようにしようという動きが高まってきた。その結果、一部テレビのリモコンには、動画配信を直接呼び出せる「Netflix」ボタンが用意されるまでになった。

 最近のCESにおける話題の中心は音声AI(人工知能)だった。昨年(2017年)のCESは、Amazonの音声AI「Amazon Alexa」が700以上もの製品に搭載されCESを代表する顔となった。これに対し今年(2018年)は、ライバルのGoogleがCESに初めてブースを構えつつ、昨年のAmazonのイメージを払拭すべく莫大な広告費をかけてラスベガスの街中にGoogleの文字を表示させ強烈なインパクトを残した。

 2年続けてCESで強烈な存在感を見せた両社の音声AIは、今年も様々なメーカーの製品に搭載され、ついにテレビにも搭載されることになった。具体的には、今年のCESでLG電子やソニーなどから「Google Assistant」搭載テレビが発表された。

 スマートフォン(スマホ)をはじめとする様々なデバイスで既に利用されているGoogle Assistantは、同社が保有する莫大なデータを活用して高い検索精度を実現している。また、既にスマートスピーカー(Google Home)で最大6人まで人の声を区別できる機能を備えているほか、メーカーを問わず様々なホームデバイスとの連携を実現する。

 つまり、テレビメーカーが何年もかけて開発してきた機能に既に対応しているだけでなく、ユーザー個々人の情報をも持ち合わせている。そのため、ユーザーの嗜好にあったコンテンツや、例えばカレンダーと連動させることで次に予定されている旅行先に関連するコンテンツをレコメンドするということが可能となる。家電メーカーが目標としていた以上のことが、音声AIを通じてできるようになるわけだ。

Samsung製テレビにおけるUIの変化
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