CIMは、計画や設計から施工、維持管理までの一連の流れで同じ3次元モデルを使い回すことによって、本来の効果を発揮する。しかし、建設事業は構造物の発注者、設計者、施工者が分かれており、データの流通は容易ではない。

 そんななかで国土交通省は、事業の上流から下流まで“一気通貫”でデータを流通させようと、取り組みを始めている。舞台は、新潟県中部を流れる大河津分水路だ。

 分水路の河口付近で、洪水処理能力の向上と老朽化対策を目的に、18年間で約1200億円を要する河川改修事業が始まった。発注者の国交省北陸地方整備局は、事業の取り掛かりから現地周辺を3次元モデル化して、設計業務に適用している。

大河津分水路の第二床固め。幅約180mの分水路を山側へ100m広げる(写真:日経コンストラクション)
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■ 床固め付近の3Dモデル
(資料:国土交通省北陸地方整備局)
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 冒頭の写真は、改築対象の1つである第二床固めだ。背後にある山を100mほどセットバックして分水路を拡幅する。掘削総量は約1000万m3。イメージが湧きにくいかもしれないが、東日本大震災の復興でも1カ所の高台移転で生じる切り土の量が数百万立方メートルだったことを考えると、その巨大さがうかがえる。

 さらに分水路の拡幅に伴って、第二床固めの改築や野積橋の架け替えなど、ほぼ同時期に様々な事業を並行して進めなければならない。

■ 大河津分水路事業のCIMの試行対象範囲
(資料:国土交通省北陸地方整備局)
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 「規模が大きくて複数の工事が近接して絡み合っている。各々の施工のタイミングが重要で、効率的に事業を展開するには、CIMが不可欠だった」。北陸地整信濃川河川事務所の寺田勝一計画課長はこう話す。

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