もう、いいかげんに目を覚ましたほうがよい。というか、多くの企業が既に気付いているはずだ。実際に「こんなことをやっていても先はない。無意味だ」との当事者からの声が私のところまで聞こえてきているぞ。何のことかというと、日本企業のデジタルの取り組みだ。大半は完全な間違いで、成功する見込みが全くない。とっとと今やっていることを破棄して、ゼロから考え直したほうがよい。

 2018年は日本企業にとって「DX(デジタルトランスフォーメーション)元年」だった。デジタル技術を活用してビジネス構造の変革に取り組もうという考えの下、多くの企業がCDO(最高デジタル責任者)や新たなデジタル組織を設置した。どこかの大企業が動けば皆動くという、日本企業の特性が今回もいかんなく発揮された。特に4月の年度替わりはすごかったぞ。大企業でCDO任命やデジタル組織設置がラッシュだった。

 もちろんブームに乗っかろうが、先進企業の事例を猿まねしようが、DXに取り組もうとするのは良いことだ。なんせ2017年まで一部の企業を除けば「DXって何さ?」「日本企業にCDOなんか不要だろ」といった状況だったので、わずか1年で随分進歩した。問題はDXの取り組みの中身そのものだ。やはり先行事例を猿まねして、どの企業も「デジタルを活用した新サービスを作る」と意気込んでPoC(概念実証)に取り組んでいる。

 まさかITベンチャーと同じことをしようとしているわけではあるまい。それを前提に書くと、このままではDXなんか100%不可能だ。つまり猿まねばかりの日本企業は全て、枕を並べて討ち死にする。今のやり方でDXを実現しようとしたら、どういうプロセスをたどるかを考えてみるとよい。まずPoCを成功させ、何らかのデジタルサービスを立ち上げる。次にそのサービスを既存事業に組み込むなりして、既存事業そのものの変革を実現する。

 では、そのためにデジタル組織に集めるべき人材の要件は何か。3点あるだろう。(1)人工知能(AI)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)など最新のデジタル技術に精通してプログラムも書ける 、(2)既存のビジネスに精通して新しい市場を切り開ける事業センスやマーケティングセンスを持つ、 (3)経営陣や社内の抵抗勢力を説得してビジネス変革を実現できるビジョンや交渉力を持つ――である。だがそんな人材がどこにいる。私が「考え直せ」という意味がそろそろお分かりになったはずだ。

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